北陸先端大など、バイオポリイミド樹脂を開発-最高の耐熱性能

日刊工業新聞より。
北陸先端大など、バイオポリイミド樹脂を開発-最高の耐熱性能

 北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科の金子達雄准教授と
筑波大学高谷直樹教授らは、原料に石油を使わないバイオプラスチックで、
世界最高の耐熱性能を持つバイオ・ポリイミド樹脂を開発したと発表しています。

JAIST_BaioPI_image.jpg

遺伝子組み換え微生物などを使って原料を簡便に大量生産することが出来るとの事。
天然では微量のアミノケイ皮酸を多く生産する微生物を遺伝子組み換えで作製し、
光反応の2量化で原料モノマーを作って高分子化するそうです。

具体的には下記になります。
 遺伝子工学的技術を用いて、大腸菌をpapABCとPALという変換酵素の遺伝子群で操作し、
適切な培養条件で培養することで、天然にはほとんど存在しない4-アミノ桂皮酸の微生物生産を実施。
JAIST_4ACA_synthesize_route_image.jpg

また、4-アミノ桂皮酸を塩酸塩化した後、高圧水銀灯で照射することにより光二量化し
4,4’-ジアミノトルキシリン酸という芳香族ジアミンを合成。
JAIST_4ACAto4ATAester_route_image.jpg

これをモノマー材料として用い、さまざまなテトラカルボン酸二無水物と反応させて
各種ポリアミド酸を得ています。
さらに、これらをキャスト法によりフィルム化して150-250℃の真空下で
加熱処理することにより6種類のポリイミドフィルムを作成しています。

JAIST_4ATAestertoPI_image.jpg

ポイントは下記。
1)天然には微量にしか存在しない4-アミノ桂皮酸を遺伝子組換え大腸菌から産出する条件を確立

2)微生物からは得ることの極めて困難な芳香族ジアミンを紫外線を利用して合成

3)史上最も高耐熱のバイオプラスチックを分子設計
特にPI-1と記述したポリイミドで用いたカルボン酸類である
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物は完全なバイオプラスチックであり、
かつ耐熱温度390℃でバイオプラスチックの中で最も高耐熱で、
さらに50ppm/K以下の低い線熱膨張係数を持ち、
ヤング率および引っ張り強度、透明性も高い値となっています。

JAIST_BaioPI_PI-1_image.jpg

【PI-1の物性】
・10%重量減少温度:390℃
・引っ張り強度:75MPa
・ヤング率:10GPa
・屈折率:1.60
・光透過率:88%(光の波長450nm)
・ガラス転移温度:350℃以下で観察されず
・線熱膨張係数:40ppm/K以下

そのほかのポリイミドは部分的にバイオベースのポリイミドであり、
物性は下記になります。

・10%重量減少温度:394-425℃
・引っ張り強度:71-98MPa
・ヤング率:4.3-13.4GPa
・屈折率:1.64-1.65
・光透過率:50-86%(光の波長450nm)
・ガラス転移温度:240℃以上
・線熱膨張係数:80ppm/K以下-20ppm/K以下

特にPI-2とPI-6は透明度80%以上と耐熱温度425℃を確保した優れた透明材料であり、
比較的高い屈折率も持っているとの事。
さらに、これらのポリイミドに播種した細胞は死滅せず大きく伸展する様子が見られ
高い細胞適合性を持つことも分かっているそうです。
また、難燃性(自己消火性)、紫外線分解性を持つことも確認しているとの事です。

上記の特性から、鉛フリーハンダの融点を超えて高温に強い、ハンダ使用の電装部品に対応でき、また
熱によるサイズ変化率は金属並みで、自動車エンジン周りの金属代替が狙えるとの事。
透明性や細胞適合性にも優れ、自動車の強化ガラスやガラス人工水晶体の代替も期待できるそうです。
価格は人工甘味料フェニルアラニンと同等の1キログラム当たり2000円と試算。
石油由来のポリイミドと比べ優位で、実用化が有望とみているそうです。

JAISTプレスリリース
390度超、世界最高耐熱のバイオプラスチックを開発~金属代替による軽量化に期待~


北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科の金子達雄准教授と筑波大学高谷直樹教授らは、原料に石油を使わないバイオプラスチックで、世界最高の耐熱性能を持つバイオ・ポリイミド樹脂を開発した。遺伝子組み換え微生物などを使って原料を簡便に大量生産できる。
 この研究は科学技術振興機構JST)の課題達成型基礎研究の一環として行われた。天然では微量のアミノケイ皮酸を多く生産する微生物を遺伝子組み換えで作製。光反応の2量化で原料モノマーを作って高分子化する。石油由来の高価な芳香族ポリイミドのエンジニアリングプラスチックの新製法を確立した。
 鉛フリーハンダの融点を超えて高温に強い、ハンダ使用の電装部品に対応できる。熱によるサイズ変化率は金属並みで、自動車エンジン周りの金属代替が狙える。透明性や細胞適合性にも優れ、自動車の強化ガラスやガラス人工水晶体の代替も期待できるという。価格は人工甘味料フェニルアラニンと同等の1キログラム当たり2000円と試算。石油由来のポリイミドと比べ優位で、実用化が有望とみる。



バイオマテリアル (化学マスター講座)バイオマテリアル (化学マスター講座)
(2013/07/20)
岩田 博夫、加藤 功一 他

商品詳細を見る
関連記事
スポンサーサイト

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

プロフィール

miyabi

  • Author:miyabi
  • 2013/1よりディスプレイ周りの技術情報を掲載。

    Twitter @deep2black
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最近の記事
タグリスト
カテゴリー
アーカイブ
リンク
人気記事
ブログ内検索
関連書籍
RSSフィード
Twitter