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電子部品から医療まで幅広い応用が期待される「カーボンナノホーン」をNECが拡販

EETimesより。
電子部品から医療まで幅広い応用が期待される「カーボンナノホーン」をNECが拡販

当ブログでも以前取り上げました、NECの「カーボンナノホーンCNH)」についての記事が
EETimesに掲載されていましたのでご紹介。

当ブログ関連記事:NEC ナノカーボン事業 独自技術ベースに用途開拓

NEC_CNH_nano-carbon-materials_image.jpg

カーボンナノホーン(CNH)とは

カーボンナノチューブ(CNT)やフラーレンと同じくグラファイトから生成されますが、その形状に特徴があります。
CNTのように主に6員環で構成され筒状の形状をしていますが、
筒の先端には5員環が混じるため、角(ホーン)のような形に閉じた円錐状になっています。
筒の直径は2~5nmと単層CNTとほぼ同じ小ささですが
筒の長さが40~50nmとCNTに比べ極端に短く、アスペクト比が小さくなっています。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_stracture.jpg

さらに、この円錐状の形をしたCNHは単独で存在することはなく、必ず、
数百本のCNHの集合体として存在します。
集合体の形は、球状で多くのCNHがトゲのように飛び出ている“ウニ”のような形をしており、
球状の集合体の大きさは、100nm前後です。

カーボンナノホーンの特長

さて、このような構造を持つCNHですがその構造により以下の特長を持ちます。

1)大きさが均一
集合体の直径が100nm前後と、大きさが均一という点が挙げられます。
大きさ、形状にばらつきがないため、材料として安定した特性を出しやすいと言えます。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_variation.jpg

ちなみに図の左側にありますCarbonNanoBudを用いてフィンランドのCanatuは、
タッチセンサー向けの透明導電膜フィルムを開発しています。
当ブログ関連記事:折り曲げ可能、低反射! カーボンナノ素材のタッチセンサー用フィルムを量産

2)開孔でき、内部にモノを詰め、取り出せる
閉じた先端部分に穴を空ける「開孔」が行え、中にモノを詰めることができます。
先端にだけ存在する5員環は、6員環より物質的に弱く、より低い温度で燃えるため、
5員環は燃えるが、6員環は燃えない温度の熱を加えることで、先端に開孔できるという仕組みです。
CNTも筒の中に、モノを詰め込むことはできますが、
アスペクト比が大きいためモノを取り出すことが筒両端の一部しかできず、
一方でCNHは、アスペクト比が小さいため、詰め込んだモノを取り出すことができます。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_inside_materials.jpg

3)表面積が大きい
ウニのような形であるため、表面積が大きく、1g当たりの表面積は400m2に達します。
さらに、開孔して筒の中も露出させることで、さらに表面積を増やすことができ、
1g当たり1400m2とい広い表面積を実現できます。
直径の小さな単層CNTも理論的には表面積が大きいですが
複数のチューブが束になってしまうバンドル構造体を形成しやすいため、
現実的には表面積は小さくなっています。

4)分散安定性が高い
集合体の直径サイズなどから、分散安定性が高い、すなわち、溶媒に対してよく混ざるという特性もあります。
混ざった後もCNH同士で固まる凝集体が形成されにくく、混ざったままを維持でき、
加えて、物質の撥水性の有無などを決める表面官能基も開孔処理時の温度や酸素濃度を変えることで、
さまざまな表面官能基に変化させることができ、開孔タイプのCNHであれば、水溶性も実現でき、
どの溶剤に対しても分散安定性が発揮されるそうです。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_Dispersibility.jpg

5)製造が容易
CNHは、他のナノカーボン素材よりも製造しやすいという特長もあります。
生成方法はグラファイトにレーザーを照射し、グラファイトを蒸発させてそれを冷やすだけで生成できます。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_MassProduct.jpg

6)金属性不純物を含まず、純度が高く、有害性も極めて低い
生成時に金属溶媒を使わないという点により、高純度で生産が可能です。
CNHでない部分も、グラファイトか炭素であり、物性を大きく左右する要素にもなりません。
さらに、金属溶媒を使わないため、有害性も極めて低いため、
「これまでの種々の動物実験や細胞実験では短期での毒性が確認されていない」(NEC)として、
体内に取り込んでも問題がないと考えられています。

カーボンナノホーンの応用

電子デバイス分野では、電気を通しやすく、かつ、表面積が大きいため、
電気二重層キャパシタなどの電極の表面に適用することで、充放電特性や容量を高めることができます。
また、ウニのような形状のため、物質を均一なまま吸着、保持できることを利用し、
燃料電池の触媒電極に使われるプラチナ粒子をカーボンナノホーンを使って保持すれば、
よりプラチナ粒子の重さ当たりの表面積を増やすことが可能です。
そのため、充放電特性を向上させることが可能な他、
高価なプラチナの使用を抑制できるといった効果も期待できます。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_application.jpg

上記以外にも、有害ガスを搬送する場合に使用するといったことも検討されています。
メタン、フッ素などの有害ガスをカーボンナノホーン内に取り込めば、熱や圧力をかけない限り、
空気中に放出されません。
従来、有害ガスを搬送する場合、厚い金属の容器などで安全性を確保する必要性がありましたが、
CNHに吸着させることで、より簡易的な容器での搬送が可能になり、
搬送/保管コストなどを低減できる見込みとの事です。

さらに、医療分野での応用として、有害性が低いため治療薬をカーボンナノホーンに含ませ、
より病原体に近い場所で、治療薬を投与するといった使用も可能で、
既にマウス実験なども実施され一定の効果が得られているそうです。

NEC_CNH_Carbon-nano-horn_application2.jpg

今後の動向

本格的な提案活動を実施して、おおよそ1年程経過した現在、
「バッテリーではない電子部品の特性を高める材料として採用を前提にした評価が進んでいるなど、
2014年からは量産出荷が開始できる見込み。2015年辺りには、現行の生産能力でフル稼働できるレベルの
受注を獲得したい」(NEC)としています。
『バッテリーではない電子部品』が気になりますね。
 なお、生産能力の増強に関してNECでは、「大きな投資の必要もなく、短期間で対応することも可能だ。
装置1台当たりの生産能力も、レーザーの出力を高めることで向上できる見込みで、
大規模量産に向けた技術的課題はほぼない」としており、今後の動向が注目されます。

ナノカーボンの材料開発と応用 (CMCテクニカルライブラリー)ナノカーボンの材料開発と応用 (CMCテクニカルライブラリー)
(2008/12)
篠原 久典

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