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産総研、多層グラフェン使い微細配線の作製技術を開発

日刊工業新聞より。
産総研、多層グラフェン使い微細配線の作製技術を開発

産業技術総合研究所は、シート状の炭素構造物が積み重なった多層グラフェンを使い、
微細配線の作製技術を開発したと報じられています。
グラフェン層間に塩化鉄分子を導入することで、銅と同程度の電気抵抗率を達成しているとの事。

追記:
産総研のニュースリリースより。

多層グラフェンを用いた微細配線作製技術を開発


今回開発した技術では、条件を最適化したCVD法を用いて高品質多層グラフェンをサファイア基板上に合成する。
原料はメタンをアルゴンと水素で希釈したガスであり、500 ℃程度の温度のサファイア基板上にスパッタ法を用いて作製したコバルト薄膜を触媒とした。
グラフェンの合成温度は約1,000 ℃である。図1に合成された多層グラフェンの透過電子顕微鏡(TEM)による断面図、およびラマン分光スペクトルを示す。TEM像から、10層程度の多層グラフェンであることがわかる。また、ラマンスペクトルのG'(2D)バンドの形状は高品質結晶グラファイトと類似していることから、この多層グラフェンがグラファイトと同様の構造を持つ可能性が考えられる。

図1 (a)多層グラフェンのTEMによる断面図と(b)ラマンスペクトル
図1 (a)多層グラフェンのTEMによる断面図と(b)ラマンスペクトル

 今回の多層グラフェンを酸化膜付シリコン基板に転写し、通常の半導体プロセスを用いて配線化した。
グラフェン配線の光学顕微鏡像と電流-電圧特性を図2に示す。抵抗率は最小で56 µΩcmであり、高品質結晶グラファイト(抵抗率:40 µΩcm程度)に匹敵するものであった。このグラフェン配線に250 ℃で107 A/cm2の密度の電流を流したところ、150時間を経過しても断線せず、銅配線より優れた電流密度耐性を示した(図3)。

図2 (a)多層グラフェン配線の光学顕微鏡写真と(b)電流-電圧特性
図2 (a)多層グラフェン配線の光学顕微鏡写真と(b)電流-電圧特性

図3 250 ℃環境での電流密度耐性の評価試験
図3 250 ℃環境での電流密度耐性の評価試験
青丸は銅が断線した条件。多層グラフェンは107 A/cm2の電流を150時間印加しても断線しなかった。

 今回の多層グラフェン配線は優れた信頼性を示したが、抵抗率は銅よりも約1桁高いため、塩化鉄のインターカレーションによる低抵抗化を試みた。
多層グラフェン配線が形成された基板と塩化鉄粉末を真空石英管内に入れ、310 ℃に加熱して、インターカレーションを行った。図4に、インターカレーション前後のラマンスペクトルと、抵抗の変化率を示す。ラマンスペクトルのGバンドは高波数側に移動し、インターカレーションにより多層グラフェンへ電荷移動が起こったことを示唆している。
電荷移動が起これば抵抗は低下するはずだが、実際に抵抗率はインターカレーション後に中央値で約15%に低下した。得られた抵抗率の最小値は9.1 µΩcmであり、銅と同オーダーの抵抗率を、多層グラフェンを用いた配線で初めて得られた。

図4 (a)インターカレーション前後のラマンスペクトルの変化。Gバンドが高波数側に移動している。(b)インターカレーション後の抵抗変化率の累積確率分布。中央値は015。
図4 (a)インターカレーション前後のラマンスペクトルの変化。Gバンドが高波数側に移動している。(b)インターカレーション後の抵抗変化率の累積確率分布。中央値は0.15。


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 産業技術総合研究所は、シート状の炭素構造物が積み重なった多層グラフェンを使い、微細配線の作製技術を開発した。導電性は既存の銅配線と同程度で、銅より耐久性が高い。LSI向け微細配線への応用が見込める。
今後は銅よりも電気抵抗の低い多層グラフェン配線の作製を進め、実用化を目指す。
 グラフェンは炭素原子が蜂の巣状に並んだシート構造物。優れた導電性や耐熱性、強度などの特性を持つ。化学気相成長でサファイア基板上にグラフェンが10層程度積み重なった
多層グラフェンを合成し、酸化膜付きシリコン基板に転写して一般的な半導体プロセスで配線化した。
 作製したグラフェン配線に250度Cで1平方センチメートル当たり1000万アンぺアという
高密度電流を流したところ、150時間経過しても断線しなかった。またグラフェンの層間に塩化鉄分子を導入することで、電気抵抗率を銅と同程度の9・1マイクロオームセンチメートルにできた。
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