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【SID】継続的な「酸化物半導体+有機EL」開発と、さらなる進化を遂げる「液晶」(その1)

Tech-onより。
【SID】継続的な「酸化物半導体+有機EL」開発と、さらなる進化を遂げる「液晶」(その1)
新技術は早期の市場投入をすべき時期に
北原 洋明=テック・アンド・ビズ


Tech-onよりSID2013のレビュー記事が載っていましたのでご紹介。
今年の傾向として「酸化物半導体+有機EL」と「a-Si/LTPS+液晶」の発表に注目が集まっているそうです。
特に有機EL関連については今年に入って各社が大画面の有機ELを発表してきており、
市場への早期の応用が期待されています。
一方で液晶についてもモバイル用途のメインになってきているIPS技術関連の
発表が多く、技術の進歩が続いています。
また今回は中国系メーカーの口頭発表もあり、各社技術力を伸ばしてきているのが分かります。


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 ディスプレイの先端技術を発表する国際会議「SID」では、ここ数年、将来の主役を目指す“有機EL”や“酸化物半導体”などの技術に注目が集まっている。
これらについて議論するセッションには多くの聴衆が集まり、その技術も着実に進歩している。その陰で、これまでディスプレイの産業を引っ張ってきた“液晶”においても、地味な扱いではあるが、まだまだ多くの重要な発表がある。毎年続けてSIDに参加して会場内外での生の議論を聞いていると、この両者に対する見方が年々変化していることを感じる。有機ELや酸化物半導体のような新技術に対しては、これまでのような漠然とした期待ではなく、市場への早期の応用を望む声である。その背景には、既存技術である液晶の絶え間ない進化を目の当たりにして、新技術の出番が遠のいていく危機感が増していることにある。


発表件数から見る変化――継続する「酸化物半導体+有機EL」と増加した「a-Si/LTPS+液晶」
 図1に、バックプレーンTFT(駆動基板)とフロントプレーン(表示体)の組み合わせで発表された、今年(2013年)の論文をまとめた。著者は、毎年継続的にこの表を作って、その年の特徴や前縁からの変化を眺めている。今年も、継続的な進歩と共に大きな変化が見て取れる。

 継続的な進歩としては、期待されている「酸化物半導体+有機EL」の分野での着実な進捗である。発表件数は昨年並みであるが、一つの目標製品としている有機ELテレビも着実に大画面のものが試作されている。今年は、韓国LG Display社の55型や台湾AU Optronics(AUO)社の65型も登場した。

 大きな変化の一つは、液晶に関する発表が大きく増加していることである。昨年はわずか4件であったが、今年は一気に4倍に増加した。その中身は、IPS液晶に関するものが多い。この背景には、モバイル用途ではIPSがメインの技術になったことと共に、液晶技術の進化がまだ続いていることがある。さらに、酸化物半導体をバックプレーンに使ったものもある。

 変化の二つめは、中国からの口頭発表が出て来たことである。昨年までは、ポスターで数件の発表を散見する程度であった。しかし今年は、中国China Star Optoelectronics Technology社(CSOT:華星光電)の110型4K×2Kの招待講演や中国BOE Technology Group社(京東方)の酸化物半導体を使った65型4K×2Kなど数件の口頭発表があり、聴講者の中にも中国からの参加者が多く見受けられた。

図1 継続的な「酸化物半導体+有機EL」開発と、さらなる高性能化を目指す「液晶」
図1 継続的な「酸化物半導体+有機EL」開発と、さらなる高性能化を目指す「液晶」
SID 2013の口頭発表内容を整理した。TFT単体、材料単体の発表は除く。Siベースのマイクロディスプレイは除く。著者が作成。

「酸化物半導体 +有機EL」の進捗
 大画面の有機ELテレビ用としては、有機ELテレビとして最大サイズとなる65型のAUO社の発表は、インパクトがあった(Tech-On!関連記事1)。また、LG Display社は、今年発表した55型有機ELテレビの技術内容を発表し(講演番号21.1、21.2、27.2)、画面を湾曲させたものを展示会会場でデモ展示した(図2)。これも着実な技術的進歩と言えるだろう。

図2 LG Display社による「湾曲した有機ELテレビ」の展示デモ
図2 LG Display社による「湾曲した有機ELテレビ」の展示デモ
手前は画面を湾曲させたもの。奥は平らな画面。共に画面サイズ55型で厚みは4mm。輝度は400 cd/m2以上、コントラスト比は10万対1以上。第8世代ラインで作製した。

斜めペンタイル配列で有機ELの高精細化を推し進めるSamsung
 中小型パネルで有機EL化を推し進めるSamsung社は、基調講演で高精細化に対応する「Diamond Pixel」配列の紹介と共に、将来のフレキシブル・ディスプレイの世界を有機ELで実現する構想を大勢の聴衆の前でアピールした(Tech-On!関連記事2)。展示会場でも、有機ELの超高精細化を積極的にアピールした(図3)。

図3 超高精細有機ELパネルを実現するDiamond Pixel配列
図3 超高精細有機ELパネルを実現するDiamond Pixel配列
ペンタイルの画素配列をベースにして、発光層の配列を斜めにしたもの。Samsung社の展示会場での説明パネル。

有機ELのカギを握る材料開発
 有機EL技術を発展させるためには、材料がカギを握ることは誰しもが認めるところである。発光材料の性能向上だけでなく、効率良く電子を供給するための電極材料もその一つである。NHK放送技術研究所の発表のような
素子構造や材料の変更による改善(Tech-On!関連記事3)なども注目される技術である。

 また、ポスター発表ではあるが、旭硝子(AGC)の「Electron Injecting Material for OLEDs driven by Oxide TFTs: Amorphous C12A7 Electride(講演番号P142)」も意義のある内容である。東京工業大学教授の細野秀雄氏が今年春の応用物理学会で発表した
酸化物TFT駆動の有機EL用の電子注入層として、旭硝子と共同開発したスパッタリング法によるアモルファスC12A7エレクトライドの特性を調べたものである。
素子構造としては、最初にスパッタリング膜が使える逆構造トップ・エミッションを採用し、従来のAl/LiFなどに比べて、数倍の発光特性を得ている。

 このような材料開発の取り組みが、有機ELの実用化に向けた着実な歩みになる。

早期の市場投入で価値を作り上げていくことが必要
 現在の「有機EL+酸化物半導体」の組み合わせによる開発は、技術的には20年前の「液晶+アモルファスSi」開発と同じフェーズにある、という声を長年ディスプレイの開発に携わってきた方々からよく聞く。当時、液晶ではノート・パソコン市場を目指して、多くの企業が技術開発と製品適用を競って市場を立ち上げた。信頼性の問題などもまだ抱えていたが、とにかく新しい市場の創造に向けた各社の競い合いが、大きな市場を創り上げた。

 大型テレビを目指した開発が続けられている現在の「有機EL+酸化物半導体」は、技術開発レベルでは20年前の液晶と同様、課題をクリアしながら着実に進歩しているフェーズである。
最大の違いは既に市場に液晶という先駆者がいるということである。もしこの液晶テレビがなければ、有機ELが新しい市場のリーダとして大きな市場を獲得していけるだろうということは、万人が認めるところであろう。しかし、既にある市場の中で戦わなければならないところに、有機ELの苦しさがある。

 この困難な状況をどのように克服すれば良いかというのが、各事業者を悩ます最大のポイントである。とにかく新しい市場を目指すべきだということで、「フレキシブル」をキーワードにした開発も精力的に行われている。この場合、最大の課題は「スピード」である。競争相手となる液晶は、止まって待っていてくれるわけではない。液晶は、参入者が多い分だけ競争も激しく、進歩のスピードはまだ衰えていない。この中で有機ELが生き延びていくためには、早く製品化して市場の荒波の中で継続的に改良を加えながら、進歩を続ける液晶を追い抜くスピードを持たなければ勝つことはできない。

 後続記事(その2)で、今回のSIDで感じた、液晶の進化をレポートする。
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