【抜粋記事】どうなる? 2017年下期以降のディスプレイ業界①
どうなる? 2017年下期以降のディスプレイ業界
①有機ELの急成長や米国進出を進める鴻海など新たな動きを見せるFPD業界

英IHS Markitの日本法人IHSグローバルが主催する「第33回 ディスプレイ産業フォーラム」が開催
シニアディレクタ―のDavid Hsieh(謝勤益)氏は、FPD市場全体の今後の動向を次のように概観
・ディスプレイは2015~2024年の10年間、年平均5%(面積ベース)で成長すると予測される。テレビと新分野が成長をけん引する。有機EL(OLED)テレビ向けの年平均成長率は49%、パブリックディスプレイ向けは12%、車載向けは8%、携帯電話向けは6%という見通し
・大型テレビ用液晶(LCD)パネルは2017年下期から2018年にかけて供給過剰に陥る
韓国Samsung Visual Displayは、さらにハイエンドに注力する方向でビジネスプランを見直し、供給確保のためパネルメーカーに投資する可能性があるほか、中国BOEはさらなる垂直統合強化のための投資を継続、そして韓国LG Displayは、これまでと同様、液晶と有機ELテレビの両方に投資を継続していく
テレビは液晶、有機ELともに今後さらに大型化する傾向
世界のディスプレイ市場に占める液晶、有機EL、その他の売上比率は2017年時点では液晶80%、有機EL19%、その他1%であるが、2020年には、70%/28%/1% 、2024年には、64%/36%/0%と変化
スマートフォンの有機ELパネルの搭載率は、2017年で25%となる見通しだが、2019年にはそれが36%まで向上し、a-Si液晶パネル(33%)、低温poly-Si(LTPS)液晶パネル(31%)を上回る
<Samsungは競合のLGからも液晶パネル購入を画策>
Samsungは液晶パネルを子会社のSamsung Displayだけではなく、中国・台湾メーカーからも購入しているが、2017年からLG Displayからも購入を始めた模様
Appleは、主にLG Displayとジャパンディスプレイから購入しているが、2016年からノートパソコン用液晶パネルに関してはBOEからの購入も開始した模様
<米国に液晶パネル工場を建設する意味と意義>
メリット
・関税:現在、米国はすべての液晶パネルをアジアから輸入しているが、その関税は4.5%である。
米国内で製造すればこれは不要となる
・輸送:アジアからのパネルは、太平洋を船で運ばれカリフォルニア州ロングビーチかメキシコで荷揚げされたのち、
陸路で輸送されるが、このような長距離輸送が不要になる
・技術力:工場運営には優秀な技術者が必要だが、米国内で十分確保できる
・鴻海の米国でのテレビビジネス:OEM/ODMテレビメーカーである鴻海は1900万台のテレビを
自社(シャープ)およびソニーなどの顧客のために製造しているが、米国内でテレビを製造できるようになる。
中立
シャープの米国でのテレビビジネス:シャープはテレビの自社ブランドの米国での使用権を2020年までの期限付きとはいえ中国のHisenseに譲ってしまった。2020年以降は鴻海はシャープおよび自社ブランド名を米国で使えるようになる。工場稼働はそれ以降だから問題はない。
デメリット
・投資:米国の政治システムは新たに鴻海が建設したファブを直接子会社化することを
認めるかどうかはっきりしていない
・装置調達:Applied Materials(AMAT)やLam Researchなど一部のディスプレイ製造装置メーカーは
米国にあるが、多くの製造装置メーカーはアジアにある
・ディスプレイサプライチェーン:米国には皆無。
トランプ政権下でバックライトはメキシコから輸入できるのかは不透明
・露光装置:肝心な露光装置は米国内で調達できず、ニコンから輸入するしかない
・ガラス基板:G10.5の大型ガラス基板を供給できるガラスメーカーは極めて限られている
・水資源:製造には、毎日6万平方メートルの水が必要だが確保できるか否かは疑問
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