【抜粋記事】フレキシブルの次はストレッチャブルディスプレーか
フレキシブルの次はストレッチャブルディスプレーか

「SID」の参加者は、シンポジウムが昨年並みの約2196名、展示会が昨年より500名程度増加して約7039名と大変盛況だった。提出されたアブストラクト論文の総数は4年連続で増加し、合計700件近くに達している。特に中国からの参加者や論文の数が増えているという
シンポジウムでは、今年のスペシャルセッションとして、有機ELディスプレーの歴史を振り返る「Cerebration of the 30th Anniversary of OLED」特別セッションが開催され、5人の発表者がそれぞれ個性的なプレゼンテーションを行った
シンポジウムの発表の中で面白かったのは韓国Samsung Display社がフレキシブルの新しい形態としてストレッチャブルディスプレーを発表したこと
折り曲げ可能なディスプレーは、折り曲げ部の応力をどれだけ抑えることができるかが最も重要な技術課題
ストレッチャブルディスプレーはこの前提条件を覆すものであり、大きな応力がかかっても壊れないディスプレーを実現したことの意味は大きい
中国BOE Technology Group社は、フレキシブル有機ELディスプレーを量産する場合の課題について総括する発表を行った(論文番号71.1)
ポリイミド(PI)の塗布については、PI単層を塗布してバリアー層を重ねた単純な構造と、さらにもう1層のPI層を塗布してバリアー層も重ねたフレキシブル基板2層方式の構造の2種類を提案した。信頼性試験の結果は、2層方式の方が1層方式に比べて良好だという
低温多結晶Si(LTPS)のプロセス温度に関しては、一般のガラス基板を用いたLTPSでは600℃程度の高温アニールをRTAで行うが、PI基板を用いる場合には最高温度を450℃程度に抑えてオーブンでアニールしなければならない
薄膜封止構造に関しては、1層目のバリアー無機膜の上にインクジェットで形成した有機平坦化層を1層はさみ、その上に2層目のバリアー無機膜を形成しただけの最も単純な薄膜封止構造を紹介
BOE社はこの構造でWVTR 2×10-5g/m2・dayを実現したという。ただし、ベンディングテストを実施するとバリアー層が破壊しやすいので、この構造のままでは折り曲げ式ディスプレーへの適用は難しい
ベンディング試験で性能を確保するためには、偏光板の下のFunctional Layer(光学的に透明な粘着剤)の膜厚選択が重要
半導体エネルギー研究所は今回も意欲的なデバイスを数多く発表した。8.34型1058ppiの酸化物TFT駆動の8K フレキシブル有機ELパネル(論文番号24.3)は、半径2mmで内側閉じと外側開きの両方向へのベンディングテストに10万回耐えたという。これを実現するためには、PIとバッファ層の最適化(リフトオフの方法も含む)と、モジュール全体で応力を緩和させる構造が必要になる
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