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【SID】未来のディスプレイを実現する材料:液晶パネルの色域を大幅に広げる量子ドット

Tech-onより。
【SID】未来のディスプレイを実現する材料:液晶パネルの色域を大幅に広げる量子ドット

SID2013にて、米3M社が量子ドットを使ったフィルム「QDEF」のデモを披露し、
シンポジウムでは米QD Vision社が液晶ディスプレイ用途に向けた量子ドットの製造に関して
招待講演を行っています。

3Mが発表したのが量子ドットを使い、液晶ディスプレイの色域を大幅に広げられるQDEFと呼ぶフィルムです。
青色LEDとQDEFを組み合わせることによって、NTSC比100%の広色域を容易に実現することができるそうです。
 このQDEFは、3nm径と7nm径の量子ドットをフィルム中に分散させ、それを保護フィルムで挟み込んだ構造を
持っており、バックライトの導光板と液晶パネルの間に貼って用います。
バックライト光源には、青色LEDを使い、3nmの量子ドットで青色光を緑色光に変換し、
7nmの量子ドットで青色光を赤色光に変換します。
この事でRGBそれぞれのピークを持った光源になり、鮮やかさが増すという仕組みになっています。

QD Vision社はシンポジウムで、
「Quantum Dot Manufacturing Requirements for the High Volume LCD Market」と題して、
同社の量子ドット原材料の製造戦略について講演しています。
量子ドットを用いることで既存の巨大市場を持つ液晶テレビで色鮮やかなテレビを実現することが
出来るとしており、課題として材料の調達を挙げています。
例えば42型テレビに適用した場合、年間100トンの原材料が必要になるとの事です。
この解決策として量子ドットを使った材料を、バックライトと液晶パネルの間ではなく、
導光板の入り口に置く「On-edge」という方法が有効であると述べています。
同社の材料を用いた液晶テレビをソニーが2013年1月の「2013 International CES」で展示しています。
「Triluminos」と名付けられたこの製品では、色域のNTSC比を従来の70%から100%に高めており、
ここにQD Vision社の量子ドット技術が採用されているようです。

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図1 3M社の展示ブースでのQDEFのデモ
図1 3M社の展示ブースでのQDEFのデモ。左が従来品(NTSC比69%)、
中央がQDEFを入れたもの(NTSC比98%)、右は有機EL搭載品(NTSC比103%)。


図2 3M社の展示ブースでのQDEFのデモ。2台の大画面テレビを並べ、従来品(下)とQDEFを入れたもの(上)の色域の差を比較していた。
図2 3M社の展示ブースでのQDEFのデモ。2台の大画面テレビを並べ、従来品(下)と
QDEFを入れたもの(上)の色域の差を比較していた。

 ディスプレイの国際会議「SID 2013」(2013年5月19~24日、カナダ・バンクーバー)では、液晶ディスプレイの色域を大幅に広げて有機ELと同等にするための技術が発表され、多くの聴衆の注目を集めた。展示会場では米3M社が量子ドットを使ったフィルム「QDEF」のデモを披露し、シンポジウムでは米QD Vision社が液晶ディスプレイ用途に向けた量子ドットの製造に関して招待講演を行った。


3MのQDEF、青色LEDとの組み合わせでNTSC比100%
 これまで「DBEF」を代表とする様々なバックライト用フィルムで、液晶ディスプレイの表示性能向上に寄与してきた3M社が、新たな製品を市場に投入する。量子ドットを使い、液晶ディスプレイの色域を大幅に広げられるQDEFと呼ぶフィルムである。
青色LEDとQDEFを組み合わせることによって、NTSC比100%の広色域を容易に実現することができる。

 展示会場では、モバイル用の液晶パネルに適用したデモを実施(図1)。従来品の標準的な色域であるNTSC比70%から、有機ELと同等のNTSC比100%に高めた比較展示を行った。さらに、大型テレビ用では、従来品とQEDF搭載品の差をデモンストレーションした(図2)。このQDEFを搭載した大型テレビの試作品には、「BEST IN SHOW DISPLAY WEEK 2013」が授与された。

 このQDEFは、3nm径と7nm径の量子ドットをフィルム中に分散させ、それを保護フィルムで挟み込んだ構造を持つ。バックライトの導光板と液晶パネルの間に貼る。
バックライト光源には、従来の白色LEDに代えて青色LEDを使う。3nmの量子ドットで青色光を緑色光に変換し、7nmの量子ドットで青色光を赤色光に変換する。この結果、従来のブロードな波長特性を持つ白色LEDに対して、赤・緑・青の鋭いピークを持った光源になり、鮮やかな色彩を得ることができるという。

 この技術は、2012年から3M社がドイツNanosys社と共同で開発を進めてきた。現在はユーザー評価中であり、2013年第3四半期には製品出荷を始める計画である。展示会場では多くの見学客がデモ品を取り囲み、取材をする間も横からひっきりなしに質問が飛び込んでくる状況だった。


液晶への本格採用を意識、QD Visionの量子ドット製造戦略
 一方、QD Vision社の量子ドット技術を使った「Color IQ」と呼ぶ光学材料については、これを搭載した液晶テレビをソニーが2013年1月の「2013 International CES」で展示している。「Triluminos」と名付けられたこの製品では、色域のNTSC比を従来の70%から100%に高めており、ここにQD Vision社の量子ドット技術が採用されている。この技術は、青色LEDを光源とし、量子ドットを使った光学材料を液晶パネルとの間に入れることで、赤・緑・青の鋭いピークを持つ光によって鮮やかな色彩を出すことができる。これによって、有機ELと同等の色表現が得られるという。

 QD Vision社はシンポジウムで、「Quantum Dot Manufacturing Requirements for the High Volume LCD Market」と題して、巨大な市場である液晶ディスプレイに対応するための量子ドット原材料の製造戦略について講演した。
現在わずかな台数しか生産されていない有機ELテレビの立ち上がりを待つよりも、既に2億台を超える市場規模を持つ液晶テレビでこの技術を採用する方が、「色鮮やかなテレビ」を広めるためには有効であると主張した。一方、課題として、バックライトと液晶パネルの間にこの光学材料を導入する場合、大量の材料が必要になることを挙げた。粒径がそろった量子ドットを製造するためには、時間を要するからである。例えば、42型テレビについて計算すると、年間100トンの量子ドット原材料を製造しなければならないという。さらにモバイル機器やパソコン、モニターの用途も含めると巨大な量になる。

 市場の急速な立ち上がりをカバーするためには、この量子ドットを使った材料を、バックライトと液晶パネルの間に置くのではなく、導光板の入り口に置く「On-edge」という方法が有効であるという。この方法であれば、必要な年間生産量を1/100に削減できる。なお、LEDチップの表面に置く「On-chip」という方法では、年間生産量を1万分の1(10kg/年)にできるという。しかし、LEDの発熱を考慮すると、On-edgeが妥当な方式だとする。

 この講演は、シンポジウム最終日の最後のセッションであったにもかかわらず、多くの聴講者が集まり、熱心な質疑応答を繰り広げられ、ディスプレイ関係者の期待の大きさが見て取れた。先述の3M社のフィルムと併せて、量子ドットは液晶ディスプレイの性能向上に貢献するだけでなく、有機ELとの競争にも大きな影響を与える材料となるだろう。
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