【抜粋記事】運転支援か、自律走行か 自動運転で目指す二つの姿

日経テクノロジーオンライン
運転支援か、自律走行か 自動運転で目指す二つの姿

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自動運転開発プロジェクトは、どのような未来を目指して活動しているのだろうか




各企業が掲げる自動運転の開発目的はさまざまあるが、最も多くの企業が掲げる目的は交通事故と交通事故死傷者数の削減


自動運転が交通事故削減につながるという考えは、交通事故原因の大半がドライバーの過失に基づく「ヒューマンエラー」であるという各種調査機関のデータに基づいている


交通事故の削減については、具体的な数値目標を掲げる自動車メーカーもある。例えばスウェーデンVolvo Carsは「2020年までに新車での交通事故による重傷者や死者をゼロにする」という挑戦的な目標を掲げ、その目標実現に向けて自動運転技術の市販車導入を進めている



自動運転で解決を目指す社会課題は、交通事故のほかにもある。多くの企業が着目しているのは、渋滞や二酸化炭素(CO2)削減といった都市交通問題


試験走行に用いられた自動運転バスとしては、日本でも試験走行を実施した仏Easymaileの「EZ10」(日本ではディー・エヌ・エーが「ロボットシャトル」として提供)、米国ワシントンD.C.で試験走行した米Local Motorsの「Olli」、英国ロンドンで試験走行を開始した英GATEwayプロジェクトの自動運転シャトルなどがある



共同プロジェクトの中には、自動運転車の開発より社会への実装を推進することに主眼を置くプロジェクトもある。例えば、欧州で実施されているCityMobil2は、環境の異なるさまざまな欧州の都市で自動運転バスの走行実験を実施して、社会実装時の課題を洗い出している


日本では高齢化問題も自動運転の導入による改善が期待されている分野


自動車関連の高齢化問題は、(1)職業ドライバーの高齢化が進んでドライバー不足が進むこと、(2)加齢によって身体能力に衰えが生じるため移動弱者が増加すること、の二つがある


ここに完全自動運転車が登場すれば、職業ドライバー不足と移動弱者支援の両面で有力な解決策となる。ディー・エヌ・エー(DeNA)とZMPが設立したロボットタクシーは、移動弱者に新しい交通手段を提供することを目標に掲げて、完全自動運転技術を実装したロボタクシーの開発と社会実装を進めている



これまで自動車メーカーは「運転する喜び」を強調しがちであったため、「自動運転」機能のアピールを控えめにする傾向があった。しかしここ数年は「運転する喜び」に加えて、「新たな快適空間」を自動車の魅力としてアピールする方針を打ち出すケースが増えている


独BMW、独Daimler、日産自動車などは自動運転時代のコンセプトカー発表時に、「運転を楽しむドライブモード」のほかに「リラックスして快適空間を楽しむ自動運転モード」を用意することを明らかにしている



自動車の価値を高める新たな手法としては、モバイルインターネット技術を自動車に実装し、「自走するスマート端末」として自動車を再定義する方向性が出てきている


例えば米Tesla Motorsは、自動運転機能の強化と修正は自動車が搭載する自動運転ソフトウエアのバージョンアップで実施する



市販車に実装する自動運転機能については、先行車との間に安全な車間距離を維持する機能、車線中央の走行を維持する機能、渋滞時に先行車を自動追従する機能などに加えて、自動駐車と高速道路での車線変更や危険回避の自動実行機能の実装が始まっている


開発を急いでいる自動運転技術が二つある。どちらも自動車の価値を高めることに直結する機能


一つは、ドライバーが運転中に急病になったり、睡眠状態に陥ったりしたときに、安全にクルマを停止する機能


自動運転レベル4の基準「システムが運転操作をドライバーに要請した際に、ドライバーがその要請に応えない場合はシステムが対応を引き継ぐ」を満たすために欠かせない機能


2016年にDaimlerが発表した自動運転機能「ドライブパイロット」はこの機能を搭載している


もう一つは自動バレーパーキング


自動バレーパーキングは自動駐車の高度版に位置付けられる機能で、スマートフォンを使って駐車場から自分のいる場所まで自動運転車を自走させて呼び出すことができ、駐車場に入ってクルマを降りたらクルマが自走して空車スペースを見つけて自動駐車する


自動バレーパーキングの開発は自動車部品サプライヤーも積極的に進めており、独Bosch、独Continental、仏Valeo、独ZF Friedrichshafenなどがそれぞれソリューション開発を進めている。またDaimlerとBoschは、自動バレーパーキング実施時に空車スペースを適切に見つける技術を開発するための共同プロジェクトを始めている



各プロジェクトが目指している自動運転車の姿は大きく二つに分かれる。それは、人間のドライバーが乗ることを前提とするかしないかの違い


自動車メーカーや自動車部品サプライヤーは、基本的にドライバー支援を目的に自動運転技術の開発を進めている。これに対し、最初からドライバーレスの完全自動運転車を作ることを目的とする取り組みもある。例えば前述の自動運転バスや、米Google(グーグル)のSelf-Driving Carが該当


ドライバー支援を優先して自動運転車を開発する企業は、できるだけ今ある自動車の能力や快適さを維持したいと考えている。これに対してドライバーレスを志向する企業は、今ある自動車よりも劣る部分がいくつかあったとしても、ドライバーレスが実現するのならそうした部分が受け入れられると考えている


バスやタクシーについては、自動車としての性能を犠牲にしても完全自動運転を求める考えがある一方で、トラックに関しては今の運転性能そのままで、できる部分だけ自動運転に変えていくというアプローチが取られている


米Freightliner Trucksが2015年に発表した自動運転トラック「Freightliner Inspiration Truck」はHighway Pilotと呼ぶ自動運転システムを備えるが、商用運転免許証を持つドライバーがトラック車内に残ることを前提としている


トラック向けの後付け自動運転機構を開発中の米Otto(米Uber Technologiesが2016年8月に買収したが経営は独立)も、トラックドライバーが乗車することを前提としており、今のトラックの性能を維持した上で、ドライバーの負担を減らすことを目的に自動運転技術を開発している



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