セルロースナノファイバー最前線・企業編 王子ホールディングス

日刊工業新聞
セルロースナノファイバー最前線・企業編(3)王子ホールディングス

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手前が〝透明な紙〟といえるCNFシートの折り鶴(王子HD提供)

次世代のバイオマス素材として期待されるセルロースナノファイバー(CNF)。政府の成長戦略にも盛り込まれ、
ビジネスドメイン(領域)創出を狙う企業の動きが活発になってきています。


【保水・増粘性】

王子ホールディングス(HD)は2015年8月、日光ケミカルズと化粧品分野でCNFの用途開発で合意。
CNFを化粧品原料に配合して分散させると保水・増粘性を備え、べとつかず、みずみずしい感触になる効果が
見込まれるとしています。

化粧品原料大手の日光ケミカルズは、環境に配慮した原材料を使用した製品開発を追求。
森林から供給される再生可能な資源であるCNFに目をつけ、王子HDのサンプルを基礎評価して
化粧品原料として優れた特性があることを確認しています。

両社がそれぞれの事業領域で培ってきた技術や知見を持ち寄り、共同開発に取り組んで1年半余り。
「化粧品メーカーにCNF配合品を評価してもらう段階が近づいている」
(横山勝王子HD常務グループ経営委員イノベーション推進本部長)としています。

【透明シート改良】

王子HDでは化粧品に先立ち、日用雑貨品メーカーにCNF増粘剤の納入が決まっています。
ですが「化粧品は市場規模が大きい。17年度は日光ケミカルズとともに化粧品分野をメーンに展開する」(同)
と言い切っています。
一方、13年に世界で初めて連続生産に成功したフィルム状のCNF透明シートも改良を重ね、サンプル供給ニーズの
高まりに対応する増産体制の整備を急いでいる状況。酸素を遮断するガスバリアー性に加え、熱を加えても
プラスチックと違って変形しにくいことから、エレクトロニクス分野などでガラスに代わる透明材料として
注目されています。

【柔軟性備える】

木質繊維(パルプ)を解きほぐすと、可視光が散乱しにくくなっていきます。細かくすりつぶしたパルプを抄造する
半透明のグラシン紙が好例。ナノメートルサイズのCNFは可視光が透過します。
薄く広げて乾燥することで、柔軟性を備えた高機能の“透明な紙”ができます。

エレクトロニクスの世界ではCNFの親水性がネックとなりますが、「シートを疎水化する技術も開発済み」(同)。
すでにCNF透明シートのサンプル供給実績も100件近いとのこと。
「目からうろこが落ちるような想定外の用途もある。シートも1年後には実用化が見込める」(同)としています。

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