セルロースナノファイバー最前線・企業編 日本製紙−世界最大規模で量産

日刊工業新聞
セルロースナノファイバー最前線・企業編(4)日本製紙−世界最大規模で量産

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石巻工場で稼働したCNF量産設備

【年産能力500トン】

日本製紙は4月末、石巻工場(宮城県石巻市)に生産能力が年500トンのセルロースナノファイバー(CNF)
量産設備を完成しています。「現時点で世界最大規模のCNF生産設備」。
従来、国内にあるCNF生産設備は建設中も含め同100トンが最大でした。

同社は業界に先駆けて2013年秋、岩国工場(山口県岩国市)に東京大学の磯貝明教授らが開発した触媒
「TEMPO」を使って木質繊維(パルプ)を化学処理する同30トンのCNF実証生産設備を設置し、
技術開発を進めてきました。パルプをTEMPOで酸化し、機械的な力を加えるとナノメートルサイズの繊維素まで
完全に解繊でき、先行した添加剤用途にとどまらず、次世代のバイオマス素材として産業界の期待を集めています。



【19年フル稼働へ】

石巻工場の量産設備は、本格的な事業展開を見据えたものです。初年度、CNFの酸化した表面に銀などの
金属イオンを大量に担持させて消臭機能を高めた自社商品の尿漏れパッド/ライナー向けとサンプル供給を含め
稼働率10-20%で立ち上げ、19年のフル稼働を目指すとしています。
500社近くにサンプル提供してきた実績が裏付け。

CNFの用途として最も注目されているのが、軽量・高強度を実現するゴムや樹脂との複合材料化。
自動車の部品に適用できれば、軽量化効果は大きい。この分野で具体的な用途開発を推し進めるため、
6月には富士工場(静岡県富士市)でCNF強化樹脂の実証生産設備を稼働するとしています。
生産能力は年十数トン。同社は京都大学を主体とする新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の
プロジェクトに参画し、CNF強化樹脂の開発に取り組んできました。

【問い合わせ殺到】

NEDOプロジェクトによる京大のCNF強化樹脂テストプラントは同1トン。これまでサンプル提供要請に
応えきれませんでしたが、日本紙の実証生産設備が稼働すれば一挙に10倍以上の規模になります。
「ほとんどすべての完成車・自動車部品メーカーと、建材メーカーなどから問い合わせがある」
(河崎雅行CNF研究所長)とのこと。

さらに9月稼働を目指し、ケミカル事業本部江津事業所(島根県江津市)で食品添加物の製造技術を応用した
同30トンの食品・化粧品向けCNF増粘・保湿剤の量産設備も建設中。17年度上期だけで一気に3工場で
CNF生産が立ち上がる形になります。
「17年は将来への大きな一歩になる」(馬城社長)とCNF事業の開花を待望しているようです。

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