【抜粋記事】有機EL高精細化のキーパーツ、蒸着用メタルマスク 開発にしのぎを削る3方式

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有機EL高精細化のキーパーツ、蒸着用メタルマスク 開発にしのぎを削る3方式

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有機ELディスプレーの高精細化・高解像度化を担うのが、RGB発光材料の蒸着工程に不可欠な蒸着用メタルマスク





スマホ用有機ELの解像度は現在、5.5インチクラスで400ppi程度であり、同サイズのLTPSに遠く及ばないが、「3D用に1000ppi、VR(仮想現実)端末用に2000ppiがほしいという要望があると聞いている」(ディスプレー部材メーカー担当者)といい、現在のところ3つの方式で製造されるメタルマスクが開発競争にしのぎを削っている。その3方式とは、(1)エッチング、(2)電鋳、(3)ハイブリッド


成膜工程において、RGBそれぞれの発光材料を色ごとに塗り分けるため、ガラス基板やフレキシブル基板に対向してメタルマスクを配置することで、マスクパターンに応じて任意の位置にRGBの発光材料が成膜される仕組みになっている。この方式を一般的にFMM(Fine Metal Mask)と呼んでいる


正確な位置にRGB発光材料を蒸着させるため、ガラス基板と精密に位置合わせすることが求められる


基板の大型化に伴い、FMMに用いられるメタルマスクも大型化してきたのだが、メタルマスクが難しいのは「伸びても重くてもいけない」という制約がある


プロセス温度によってメタルマスクが大きく熱膨張してしまうと、大型マスクであればあるほど成膜位置のズレが大きくなってしまい、RGBパターンがきれいに形成できなくなる


現在主流のメタルマスクには、熱膨張が小さい合金であるインバー材が主に使用されている


「精密なパターン加工ができ、熱膨張せず、軽い」。これが高精細・高解像度な次世代スマホ用有機ELディスプレーの製造に求められるメタルマスクの理想像


現時点で、スマホ用有機ELディスプレーの量産に用いられているメタルマスクは、すべてエッチング方式で製造されている。参入メーカーは、大日本印刷(DNP)、凸版印刷、台湾のDarwin Precisions(達運精密工業)


スマホ用有機ELディスプレーの大半を量産している韓国サムスンディスプレーにはDNPが供給しているといわれ、メタルマスク市場で圧倒的なシェアを誇っている。Darwinは、台湾の大手ディスプレーメーカーであるAUOのグループ会社。AUOの有機ELディスプレー生産量はまだ少量だが、台湾HTCが開発・販売しているVR端末「VIVE」向けに供給しているとされる


DNPは16年5月、メタルマスクを増産すると発表し、20年までに広島県の三原工場に60億円を段階的に投資して、生産能力を現状の3倍に引き上げる



>大日本印刷、有機EL部材を増産 生産能力3倍(追記)

電鋳方式の利点は、基材に金属を盛り上げて形成するため、開口部のサイズやデザイン、マスク全体の厚みを調節しやすい点にある。参入メーカーは、アテネと日立マクセル


アテネは、低熱膨張の電鋳材料として、京都市産業技術研究所と共同でFe-Ni合金を開発



>熱に強い合金めっき技術開発 京都市産業研、世界初の量産化

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厚さ5μmを実現できるFe-Ni合金製の薄型メタルマスクの開発に成功



ハイブリッドメタルマスクは、樹脂と金属を組み合わせたもの


ブイ・テクノロジーが実用化を進めており、16年に開催された「第26回 ファインテックジャパン」に参考出展



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厚さ5μmのポリイミドフィルムに同社製のレーザーパターニング装置で開口パターンを形成後、ニッケル層を電鋳技術で形成し、開口した後にサポートメタルで周囲を保護した構造を持つ


ハイブリッドメタルマスクはテンションが不要。このため、マスクフレームを含めた重量を大幅に軽量化できる


調査会社IHS Markitは、有機EL用ファインメタルマスク市場が16年の2億500万ドルから19年には8億200万ドルへ4倍に拡大すると予測


16年末時点ではサムスンディスプレー向けがマスク市場の大部分を占めているが、19年にはサムスン以外のパネルメーカーがマスク市場の1/3を構成するようになると予測



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