JDI、液晶・有機EL統合−JOLEDを子会社化、シャープと提携再燃?(追記)

日刊工業新聞
深層断面/JDI、液晶・有機EL統合−JOLEDを子会社化、シャープと提携再燃?

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JDIが開発した曲げられる液晶の試作品

再建途上にあるシャープとジャパンディスプレイ(JDI)の生き残りを賭けた動きが活発になってきています。
シャープは台湾・鴻海精密工業の傘下で、テレビ用の大型液晶パネルに注力する方針を明らかにしており
一方のJDIは次世代液晶と有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの両輪で、
中小型市場に攻勢をかけています。
ただ資金力に劣るJDIには、もう一段上の成長戦略が必要になりそうだと指摘されています。


【中期戦略策定】
JDIが、ソニーとパナソニックの有機ELパネル事業を統合したJOLEDを子会社化する方向で
検討していることが明らかになっています。JOLEDは産業革新機構が75%、JDIが15%、ソニーとパナソニックが
それぞれ5%ずつの株式を保有。JDIは革新機構の保有分から35%以上の株式を取得し、子会社化するとみられています。

JDIは現在、新たな中期戦略の策定と、それを基にした革新機構からの750億円の資金支援についても交渉中。
JOLEDの子会社化は成長戦略の一部とみなされますが、すぐに相乗効果が生まれるかは疑問符が付いています。
JOLEDは印刷方式で製造する中型有機ELパネルの開発を進めています。
印刷方式のメリットは生産コストを低減できる点ですが、量産開始は2018年の予定。

>日本経済新聞:Jディスプレイ、液晶と有機EL統合 JOLEDを子会社化

【メリット】

中小型液晶の主戦場はスマートフォンです。この有機ELパネルをスマホ向けに展開できれば、
JDIにとってのメリットも大きいとみられます。しかし印刷方式は1インチ当たりの画素数(ppi)が400程度が
限界とされており「スマホで必要とされる解像度には満たない」(パネルメーカー幹部)。
JDIは型の役割を果たすメタルマスクを用いて有機EL材料を塗り分けることで高解像度を見込める
「蒸着方式」の有機ELパネルの開発を進めており、17年には量産試作ラインを稼働する予定。
革新機構から資金支援を得たとしても、JOLEDの子会社化により経営資源が分散されてしまう恐れもあります。

【食い合い懸念】

もう一つの懸念は、市場の食い合い。JOLEDはこれまでパソコンをターゲット市場に据えていました。
しかしJDIも非スマートフォン市場の拡大を掲げ、パソコン市場への攻勢を積極化しています。16年に入り、
JOLEDは医療用や航空機用のモニターといった業務用市場に軸足をシフトしています。
関係者からは「JOLEDの手がけられる範囲は限られている」との声もあります。

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鴻海とシャープは、大規模投資も可能になっています。一方でJDIは機構の支援を受けても
そこまでの投資はできません。今回、シャープとJDIの立ち位置の違いが明確になったことにより、両社の提携に
折り合いが付けられるという見方もできるといわれています。JOLEDの子会社化がJDIの成長に結びつかなければ、
再び提携案が浮上する可能性もありそうだとされています。

■革新機構のJDI支援−経産相、出資に前向き

世耕弘成経産相は、革新機構による支援について一般論と前置きした上で「つなぎ資金などを出すべきではなく、
日本の産業構造の革新につながる案件にこそしっかり出資するべき」と断言。シェア争いが激化する
ディスプレー産業について「生き馬の目を抜く世界。ゆっくりはしていられない」と、JDI支援策の決定に
それほど時間をかけない考え方を示しています。

ただ、JDIの実質救済に対しては経産省内でも意見が分かれています。
「あれもこれもやり過ぎた結果、ディスプレー産業は衰退した」(幹部)との声があり、JOLEDを抱き込むことが、
本当に成長に資するのか疑問視する向きはあるようです。

ディスプレー業界は1兆円規模の投資競争が繰り広げられ、判断のタイミング、スピードが勝敗を分けています。
事業多角化によるリスクヘッジ効果はあるものの、結果的に投資余力がなければ
事業ポートフォリオの転換は難しく、時流に乗り遅れます。

シャープは巨大な鴻海グループに仲間入りし、ある意味で設備投資を気にせず、日本の液晶技術を
タイムリーに世界最大・最先端工場で開花させられるようになっています。
「メーカーがいくら革新的だといっても多くの人に使ってもらえなければ意味がない」(デバイス関連メーカー幹部)。
JOLEDの優れた技術で産業構造を変えるためにも、再び資金調達の議論にならざるを得ません。

>Diamond:JDI救済の陰で「全スマホ部品メーカー統合再編」構想の胎動

■鴻海、中国に19年TV用液晶パネル工場新設

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シャープの堺ディスプレイプロダクト(堺市堺区)。鴻海の新工場に技術面で協力する

台湾・鴻海精密工業は、19年にも中国でテレビ用の大型液晶パネル工場を新設する検討を始めています。
鴻海幹部が「検討の段階」と認めています。鴻海傘下のシャープも技術面などで協力。
建設候補地として広東省広州市などが挙がっています。地方政府から補助金を得て負担を抑える計画ですが、
総投資額は8000億円規模になる可能性があります。

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同幹部は液晶パネル需要について「大型化が進むほか、社会の進歩で需要はもっと増える。
供給が足りなくなる可能性もある」との見解を示しています。新工場は10.5世代や11世代(3370×2940mm)と
呼ばれる世界最大級のガラス基板を採用するとみられています。
大型液晶を低コストで量産し、液晶工場を次々に立ち上げる中国勢に対抗する目論見。

シャープは10世代の堺ディスプレイプロダクト(堺市堺区)を運営してきた技術力で新工場立ち上げに協力。

中国ではテレビ用大型液晶パネルの増産に向けて、現地の液晶パネルメーカーの大型設備投資が相次ぎ、
日本のサプライヤーの動きも活発化しています。旭硝子は、中国の液晶パネルメーカー、
深圳市華星光電半導体顕示技術と広東省深圳市に合弁会社を設立し、薄膜トランジスタ(TFT)液晶用ガラス基板
製造工場を建設すると発表。11世代サイズの基板を19年に量産し、同社に全量供給。
生産能力は月間14万枚を計画しています。

17年夏ごろに旭硝子が70%、深圳市華星光電半導体顕示技術が30%を出資し、
新会社「旭硝子新型電子顕示玻璃(深圳)」を設立。資本金は108億円の予定。

TFT液晶用ガラス基板は液晶テレビ生産の伸びを背景に需要の拡大が続いています。
合弁で生産することでガラス基板の安定確保につなげる狙いがあるとのこと。

当ブログ関連記事
【抜粋記事】ジャパンディスプレイ・有賀社長、シート型液晶にめど 有機ELに対抗
JOLED、印刷方式で有機EL 17年春にもサンプル出荷
【抜粋記事】JOLEDの有機EL戦略を考察する

    
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