【抜粋記事】糸状太陽電池、衣服に織り込み「着る発電所」に

日経ビジネス
糸状太陽電池、衣服に織り込み「着る発電所」に

太陽光で発電する生地
●福井県工業技術センターが開発した新型電池
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これまでの常識を覆す、軽くて柔軟性に富んだ太陽電池が相次いで登場している。




どうすれば従来の太陽電池にない、柔軟性を獲得できるのか。産学官連携の技術支援を手掛ける福井県工業技術センターが、一つの答えを見いだした。シリコン製の太陽電池を糸状に加工した「太陽光発電糸」だ。


太陽光発電糸の要となるのが、スフェラーパワー(京都市)が開発した直径1.2mmの「球状太陽電池」だ。シリコンを平面ではなく球状に加工することで、様々な方向からの光を受けて発電できるようにした。



小さな球状太陽電池を糸に
●太陽光発電糸の仕組み
Fukui-ITC_solar-cell-wire_image2.png

この球状太陽電池を、2本の導電線で挟み込む。導電線はロープなどに使う有機繊維を芯糸とし、そこにスズでメッキした糸を2本巻き付けたもの。金属繊維と同等の導電性を持ちつつ、布として加工できる屈曲性と伸張性を保てるという。導電線に、球状太陽電池を一つひとつ数mm間隔ではんだ付けしていく。球状太陽電池の片方がプラス極、もう一方はマイナス極となる。


生地に織り込んだあと、防水・耐久性向上のために、フッ素やポリウレタンなどでコーティングを施す。出来上がった太陽光発電糸は、糸というよりはビーズをつなげたアクセサリーのように見える。


発電量は生地にどれだけの密度で糸を織り込むかで決まる。現時点では、一般的な太陽光パネルと比べて、4分の1程度の効率で発電できるという。


福井県工業技術センターでは太陽光発電糸のみならず、生地加工の技術開発も手掛けている。1m幅の生地を自動で製織できる、特殊な織機を開発した。




シリコンを使わず、本物の繊維に近い形状を保った太陽電池を開発するメーカーもある。カーペットやカーテン製造などを手掛ける住江織物だ。東京工業大学や信州大学と共同研究を進め、2016年3月に「太陽光発電繊維」を開発したと発表した。



有機系の変換効率はまだ低い
●主な太陽電池の変換効率
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住江織物が開発した繊維は、有機薄膜系太陽電池の一種だ。マイナス極となる金属製の芯材の周りに、表面の電気状態を整える1層目の素材を塗布。その外側に「活性層」と呼ばれる発電部分、さらにプラス極となる「透明電極層」を塗り重ねる。最後に感電防止用の被覆層を塗れば完成


「有機材料溶液を均一に塗布するのが難しかった。溶液の表面張力を使う方法を開発し、金属製の芯材を溶液から引き上げる速度も工夫した」


室内照明下での発電量は10平方センチメートルで150マイクロワット(マイクロは100万分の1)。一般的な太陽電池に比べると微弱だが、小型のセンサーを稼働させるなどの用途に使えそうだ。


住江織物はまず、自社製のカーテンなどに織り込むことを検討している。「昼間は太陽光を、夜間は室内からの光を取り込むことで一日中発電できる」と源中氏は話す。新素材の開発などを進め、2019年の量産化を目指す。




「窓」に貼り付ける太陽電池の開発を進めるのが三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学


同社は2015年、透明なフィルムに有機材料を塗布した「シースルー発電フィルム」を開発。オフィスビルなどでの実用化を目指し、既に市場開拓を開始している。


三菱化学は独自開発した有機材料を薄く、均一に塗布する際に、光ディスクの製造技術を応用した。2016年には変換効率を6%まで高めたという。


曲げられるという特徴を生かし、今後はビルだけでなくクルマの窓への装着も検討する。




富士経済によると、2014年に約3兆8000億円だった太陽電池モジュールの世界市場は、2030年には約6兆1000億円に拡大する見通しだ。現在は市場の9割超をシリコン系が占めるが、今後は有機系のシェアが高まることが確実視されている。



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