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プリンターで多層P板を作れる、リフローも可能

日経テクノロジーオンライン
プリンターで多層P板を作れる、リフローも可能 イスラエルのスタートアップ企業が開発

Nano Dimension_dragonfly2020_3D-print_image1
多層基板向け3Dプリンター「DragonFly 2020」を使った試作品。

いわゆる卓上サイズのインクジェットプリンターで、Agナノインクなどの導電体インクと誘電体インクを使い、
多層基板はもちろん、フレキシブル基板やリジッドフレキ基板、さらには3次元配線基板まで作る、
そんな多層プリント基板向けの3Dプリンターがいよいよ実用化されようとしているようです。
「DragonFly 2020」を開発するイスラエルのスタートアップ企業Nano Dimension社は、図研の開催する
「Zuken Innovation World 2016 Yokohama」で、同社製品について講演を行っています。
主に、機器の開発段階でのプリント基板の試作といった用途を想定。現在、顧客企業とβ版をテスト中で、
2016年下期の事前販売に向けて注文を受けている段階とのこと。


同社の資料によると、「DragonFly 2020」は外形寸法が100cm×60cm×80cm、重量80㎏の卓上サイズで、
20cm×20cm×0.3cmのプリント基板が作れるとしています。現在使われているプリント基板の大半は、
同サイズでカバーできると見込んでいます。樹脂などの硬化処理などの後工程もプリンター内部で自動で行うため、
従来のプリント基板作製用のガーバーデータを入れれば、完成したプリント基板が出力されるとのことです。

登壇した同社 CBO Co-Founder & Member of the BoardのSimon Fried氏によれば、導電体インクとしては
Agナノインクの利用を想定。Agの代替に使えるほど導電性が高いとしており、信号線だけでなく電源線にも
対応可能としています。このAgナノインクは、導電性粒子、製造プロセス、組成が最適となるよう、
イスラエルHebrew Universityで開発したとのこと。プリンターやソフトウエアもこのインクに合わせて
最適化しているそうです。仕様としては線幅50μmの配線を形成可能ですが、
配線幅/配線間隔=90μm~100μm/90μm~100μmの配線を推奨しています。
将来的には実製品や大量生産に向け、NiナノインクやCuナノインクといった安価な素材の追加を
検討しているとしています。

誘電体インクの材料について、講演では明らかにしていませんが、現在使われるFR-4と同等の
誘電率や誘電正接を実現できるとしています。耐熱温度は360℃以上で、リフローが可能とのこと。

1回のプリントで作れる厚みは最大3μm。0.5μm単位で制御できるとしています。
何層重ねてプリントするかによって厚みを変えることができ、薄くすれば軟らかなフレキシブル基板、
厚くすれば剛性の高いリジッド基板、部分的に厚みを変えればリジッドフレキ基板を作製可能。
現在、下地剤の開発を進めており、ガラスや布地などにもプリントする方法を開発しているとのこと。

Nano Dimension_dragonfly2020_3D-print_image2
リジッドフレキ基板の試作例。左端はリジッド基板状の硬さがある。

<物体の内外に自由な3次元配線>

いわゆるプリント基板のような平面構造だけでなく、凹凸のある立体形状も作製可能。
Fried氏はドイツLPKF Laser&Electronics社の3次元配線形成技術LDS(Laser Direct Structuring)工法や
米Optomec社のAerosol Jet Printing技術を例に挙げつつ、「一部の顧客から3次元配線の要望がある」として、
同社の技術では3次元物体の外部(表面)だけでなく内部にも自由な配線を形成できるとアピール。
例えば、斜め45度につなぐような配線や、3次元のコイル、アンテナも作り込むことができる。
なお、こうした自由な3次元配線を実現するには、既存の2次元を基本とした設計ツールとは異なる
新たなツールの開発が必要だろうとしています。

Nano Dimension_dragonfly2020_3D-print_image3
3次元配線の試作例。外形はミニカーのような形をしており、自動車業界を意識しているように思える。

Fried氏は、プリント基板向け3Dプリンターの需要として主に2つの要因を挙げています。
1つは、プリント基板の試作に時間がかかる点。「深センならすぐ入手できるかもしれないが、
欧州では数週間以上と時間がかかる」(Fried氏)。3Dプリンターを使って自社内で作製すれば、一晩といった時間で
作ることができ、外部に委託するわけではないので上司の承認などの時間も不要になると見込んでいます。
特に、研究開発では多層基板かどうかよりも、1~2日ではなく、1~2時間後など、今すぐテストするための
プリント基板が欲しいという要望が高く、そうした要望に合致するとのこと。

もう1つはセキュリティーの問題。欧州などではプリント基板メーカーが少ないため、台湾や中国の
プリント基板メーカーに発注する場合が多いですが、これらの海外メーカーと設計データを共有することに
不安を抱く企業が多いとのこと。量産段階であればよいですが、開発案件については設計データを
できるだけ長く社内に置いておきたいという要望があるとしています。

今回の製品であれば、ドリルやソルダーマスクなしにビアを備えた多層基板を作れるとしています。
インクジェットプリンター方式であるため、ヘッド数を増やして大型化や高速化を図ったり、
複数の素材を扱うといったことも実現しやすいとしています。部品実装の課題はありますが、
配線回路を物体中に収めた防水品にしたり、最終品を配線を含めてそのまま出力するという可能性もあります。
「将来的には工場は1box化する(それほど小さいboxではないが)」(Fried氏)との見解を示しています。

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