有機ELだけじゃない。iPhoneの17年モデル Mid Cellにサファイアコーティングも

電子デバイス産業新聞
有機ELだけじゃない。iPhoneの17年モデル Mid Cellにサファイアコーティングも

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10周年を迎える17年モデルは外観が大きく変わる?(写真はiPhone7 / 7Plusジェットブラック)

アップルの新型スマートフォン(スマホ)「iPhone7 / 7Plus」が発売されています。
ただし、次の2017年モデルは、iPhone発売から10周年にあたるということもあり、
大幅な刷新が図られるのではないかという、期待にも似た憶測が数多く飛び交っています。


<有機ELを最上位モデルに採用>

最も大きな変更点と目されるのが、ディスプレーに有機ELを採用するのではないかという点。
ディスプレー各社の有機EL量産体制を考慮すると、17年モデルに供給できるのは
韓国サムスンディスプレー(SDC)のみ。SDCは、韓国牙山の6G「A3」ラインを継続的に増強しており、
15年末時点で月間1.5万枚だったガラス投入能力を、17年初頭には12万枚まで増やすといわれています。

サムスンも自社のスマホに有機ELを搭載するうえ、アップル以外のスマホメーカーにも有機ELを供給するため、
当然アップルに供給できる量は限られます。このため、17年モデルは、発売10周年を記念してということもありますが、
従来の4.7インチ、5.5インチに加えて「(仮称)iPhone Pro」として5.8インチモデルが加わる3モデル構成となり、
有機ELはこの5.8インチモデルにのみ採用されるとの見方があるとのこと。
ディスプレー業界関係者によると、12万枚=1.5万枚×8ラインのうち、
アップル向けは3~4ライン分になるとの話もあるそうです。
ちなみに、SDCは将来の旺盛な需要に備え、今のところ18万枚(1.5万枚×12ライン)まで
有機ELの生産体制を増強する計画を持っているようです。

ただし、サムスンとアップルはスマホでライバル関係にあり、1社単独供給ではiPhone全量をカバーできないため、
18年には有機ELのサプライヤーに韓国LGディスプレー(LGD)が加わるとみられています。
LGDは現在、坡州の4.5G工場に月間4万枚の生産能力を持ちますが、サムスンと同じ6Gラインが
亀尾工場で立ち上がるのが17年上期。場合によっては17年モデルに供給できる可能性も残していますが、
立ち上げ当初は月間7500枚と投入能力が限られるため、LGDのサプライヤー入りは
18年モデルからになると考えられるとのこと。

また、iPhone向けがサムスンと同じパネルにならないようにするため、アップルはRGBの配列を
サムスンのペンタイルと異なる配列にする可能性もあります。その場合、蒸着に使用するメタルマスクだけは
アップルが別に用意し、ディスプレーメーカーに支給するかたちになるかもしれないとのことです。
さらに言うと、バックプレーンに用いるTFT基板は、現行のLTPS(低温ポリシリコン)TFTではなく、
酸化物TFT(IGZO)とLTPSの長所を取り入れたLTPO(Low Temperature Polycrystalline Oxide)になる
可能性があると指摘されています。

<タッチ技術はMid Cellか>

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LGDは有機EL量産ラインの構築を急ぐ(写真は亀尾工場E5への搬入式)

有機ELの採用に伴い、タッチ技術も大きく変わるとみられています。現行のiPhoneに搭載されているLTPS液晶には
インセル技術が採用されていますが、現行の有機ELではオンセル技術が一般的であり、技術が異なるためです。

サムスンがスマホに搭載する有機ELと差別化するため、アップルが採用すると目されているタッチ技術が、
日本写真印刷が開発しているMid Cellと呼ばれる技術です。日本写真印刷のホームページによると、Mid Cellとは
透明導電膜からなるセンサーを偏光板(位相差フィルム含む)上に形成することで、センサー基材自体を
省略するという究極の薄型・軽量化技術です。低反射で視認性にも優れているとのこと。
ただし、これをもし採用するなら、有機ELディスプレーとタッチパネルを別々に作って貼り合わせ、
しかもタッチパネルの製造には偏光板メーカーとタッチパネルメーカーが絡むという、
従来にない非常に複雑なサプライチェーンを経なくてはならないことになります。

もちろん、まだ採用が確定したわけではありませんが、そう受け取れる布石はあるとのこと。
日本写真印刷は現在、15~17年度を期間とした中期経営計画を進めており、その3カ年の全社設備投資額として
更新投資を中心に180億円を計画していましたが、16年度に入って計画値を260億円に増額しています。
この増額分の詳細は公表していませんが、有機EL向け製品への対応という観測が流れているもようです。

加えて、日本写真印刷は、グループ会社であるナイテック工業の津工場をディバイス事業の生産拠点に
転換する計画を進めています。同工場は産業資材事業の量産工場として10年4月に稼働し、
ノートPCなどに使われるプラスチック成形品を生産していましたが、需要の変化に伴い、ナイテック工業の
甲賀工場(滋賀県甲賀市)に機能を集約。
17年4~6月をめどにディバイス事業の生産拠点に転換していく予定とのこと。
これがMid Cellの実用化に備えたものではないかといわれているようです。

<サファイアコーティングも有力>

かねて噂されてきたサファイアの採用が、サファイアコーティングというかたちで実現するのではないかと
見る向きもあるようです。アップルは、透明基板上に酸化アルミニウムなどの薄膜を形成し、
これをレーザーアニールによって加熱・結晶化して、サファイアの薄膜にするという技術の特許を申請しているようです。

アップルは、以前からサファイアをiPhoneに搭載すると噂され、実際にカバーに化学強化ガラスではなく
サファイアを採用することを真剣に検討していました。サファイアは、ガラスに比べて誘電率に優れ、
タッチセンサーの高感度化に利くためです。
また、ガラスよりも硬いため、スマホ表面の耐擦傷性が高まるという利点もあります。

実際に、アップルは13年11月にサファイア結晶製造装置メーカーの米GTアドバンストテクノロジーズ(GTAT)と
サファイア供給契約を結び、アップルは太陽電池メーカーがアリゾナ州に保有していた工場を買い取り、
これをGTATに貸与。同時に、GTATに5.78億ドルを提供し、これをもとにGTATはこの工場に自社製の
結晶成長炉「ASF」を導入してサファイアそのものの製造に参入し、アップルに供給する計画でした。

当初はc軸成長させたサファイアでカバーの作製を試みましたが、iPhone5発売前のボール落下試験で割れが発生。
その後、安価に製造できるようになったa軸成長させたサファイアでも採用を試み、
GTATで量産化を進めるつもりでしたが、最終的にうまくいかず、GTATは14年10月にチャプター11を申請するという
結末になっています。当時は、化学強化ガラスのコストが3ドル前後であるのに対し、サファイアカバーは
20~30ドルと高価になることも採用を踏みとどまらせた要因になったようです。

すでにサファイアコーティングの事業化を進めているのが、
サファイア結晶・ウエハー大手の米ルビコンテクノロジーです。
現在はLED用サファイアウエハーの需要低迷と価格下落で厳しい決算が続いていますが、
業績回復への一手としてサファイアコーティング技術「SapphirEX」の実用化を進めています。
社長兼CEOのBill Weissman氏は「16年後半にはSapphirEXを量産へ移行できるとみており、
すでに製品に関心を持ってもらっている」と述べています。

ルビコンによると、SapphirEXはシリケートガラスやセラミック、プラスチックや金属など、あらゆる材料に皮膜でき、
化学強化ガラスの3倍以上、石英ガラスの2倍以上の強度を実現できるとのこと。膜厚は100nm~5μmで調整可能。
これが次期iPhoneにつながる技術かは全くもって定かではありませんが、
サファイアの採用はiPhoneの見た目が大きく変わったと思わせるのに一役買うのは間違いないだろうとしています。

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