苦節十数年、素子から作ったソニーのLEDディスプレー 超小型LEDでコントラスト100万対1

日経テクノロジーオンライン
苦節十数年、素子から作ったソニーのLEDディスプレー
超小型LEDでコントラスト100万対1


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「InfoComm 2016」に出展したLEDディスプレー(写真:ソニー)

ソニーは微細なLED素子をひとつの画素として利用するLEDディスプレー技術「CLEDIS(クレディス)」を
適用したディスプレーユニットを開発し、米国ラスベガスで6月に開催されたオーディオビジュアル分野の展示会
「InfoComm 2016」に出展しています。発売は、2017年1〜3月の予定。


このディスプレーユニットを複数個組み合わせることで、用途や設置場所に応じて画面の大きさや
縦横比などを変えられるとのこと。ユニットの画面の枠は非常に細く、これを上下左右に並べることで、
目地がほとんど見えない大画面を構築できるとしています。

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LEDディスプレーの特徴(図:ソニー)

デジタルサイネージやパブリックビューイング、ショールーム用ディスプレー、自動車のデザインレビューなど、
主にB to B用途での利用を想定。
例えば、ユニットを横12個、縦3個並べて横3840×縦1080 画素とした、4.8m×1.4mの
200 型ディスプレーを構築できるとのことです。

LED素子(チップ)からソニーが作っており、原点となる同素子の研究開発から数えると、
今回のLEDディスプレーの実用化までおよそ十数年かかったとのこと。その間、何度か開発中止の声も
ソニー社内で上がったようですが、それを乗り越えて、製品化にこぎつけたとしています。
今時の大手機器メーカーの製品では珍しい、長い期間を経て実用化されたものとなります。

LEDディスプレーは、液晶や有機ELに続く「第3のディスプレー」として注目を集めています。
ソニーだけでなく、米Apple社や韓国Samsung Electronics社のような大手機器メーカーが
開発に取り組んでいるとされています。
LEDディスプレーに注目が集まるのは、他のディスプレーにはないさまざまな利点があるからであり
例えば、液晶や有機ELでは実現できていない、「屋外の太陽光下で十分に視認できる明るい表示」が
可能になるとされています。

この他、自発光型なのでコントラスト比を高めやすい、液晶に比べて消費電力を大幅に下げられる
可能性があるなどの特徴を備えており、自発光型である有機ELディスプレーに比べて、無機材料で
構成できるLEDは寿命や信頼性の面で優位性があるとされています。

競合品に比べたソニー製品の特徴は、「コントラスト比が高い上に、視野角や色域も広い」こと。

画面サイズが403mm×453mmで、画素数が縦360×横320画素のディスプレーユニット「ZRD-1」の場合、
コントラスト比は100万対1で、視野角はほぼ180度、色域はsRGB比で約140%。
輝度は最大約1000cd/m2。なお、最大輝度時の消費電力はおよそ200W。

コントラスト比が高いのは、赤色(R)や緑色(G)、青色(B)のLEDを1画素とする光源サイズが
0.003mm2と非常に小さいからとのこと。このLEDをソニーは「Ultrafine LED」と呼んでいます。

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光源サイズが小さい(図:ソニー)

光源サイズを小さくしたことで、画面全体の黒色が占める割合(以下、黒占有率)を99%以上に高めて、
コントラスト比を向上しています。表面実装型のSMDパッケージに、RGBそれぞれのLEDチップを実装した
LEDを利用する従来のLEDディスプレーの場合、黒占有率は「およそ30〜40%」(ソニー)にとどまるとのこと。

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従来のLEDとの比較(図:ソニー)

黒占有率を高めたことに加えて、LEDの広配光性能などと合わせて、視野角を広げています。

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視野角も広い(図:ソニー)

現状のLEDディスプレーの課題は一般に、高いコストとなっています。
原因の1つに、LEDチップの実装の問題があり、現状のLEDディスプレーでは、RGB各色のLEDチップを用意し、
それらを1つのパッケージに封止したLEDを1画素として利用するのが一般的です。
そのため、RGBそれぞれでLEDチップを製造し、それらをパッケージに実装する必要があり、
コストが高くなります。ソニーは詳細を明かしていませんが、複数画素分のLEDチップを一括して実装するなど、
何らかの方法でLEDチップの実装効率を高めてコスト削減につなげたようです。

複数のユニットを組み合わせて大画面を構築した際に、ユニット同士が接する部分に目地が見えないように、
大きく2つの工夫を盛り込んでいます。1つは、ユニットをまたいでも、画素ピッチ1.2mmを保てるようにしたこと。
もう1つは、ユニットごとのわずかな映像表示ばらつきを補正する技術を導入したことです。

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目地を見えなくする工夫(図:ソニー)

今後は、2017年の製品化に取り組みつつ、3D表示や曲面表示、HDR対応などを検討中とのことです。

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