「有機太陽電池」の効率を妨げている要因を特定 - 米アルゴンヌ国立研究所
海外からの最新科学ニュースより。
「有機太陽電池」の効率を妨げている要因を特定 - 米アルゴンヌ国立研究所
米アルゴンヌ国立研究所のチームはこの度、「有機太陽電池」の太陽エネルギー変換効率を妨げている原因を特定することができたとEnergy and Environmental Scienceに発表。開発プロセスに用いる金属原子である「パラジウム」の残留物がその元凶であるとしている。
画像は東レの有機太陽電池
米アルゴンヌ国立研究所のチームが有機太陽電池の変換効率を妨げている原因がパラジウムの残留物に
よるものだと発表しています。有機ELなどでも同様の現象が生じていることは知られていましたが
有機太陽電池でも蛍光X線を用いて残留物が生成された電荷をトラップするという現象を確認したそうです。
有機系のデバイスは材料内の不純物が想定外の効果を発現することがありますが
今回の現象もその類のようです。ドーピングなど不純物を積極的に利用する方法もありますが
デバイス物性がまだ未知の部分がある有機系デバイスではこのような成果が
デバイス特性の向上につながるものだと思われます。今後改善方法の研究にあたっていくようですので
更なる研究成果が期待されます。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
アルゴンヌ国立研究所所属のナノ科学者であるSeth Darling氏らは、「有機太陽電池(OPVs)」として
知られる新しいタイプの太陽電池開発に長年、取り組んできた。
有機太陽電池には、生成や材料にかかるコストを削減することのできるポテンシャルが秘められているので、
有機太陽電池は従来型の太陽電池よりも遥かに安価に製造可能だと言われている。
また、環境への負荷も少ない。
しかしながら、有機太陽電池の主な欠点というのは、従来型の太陽電池ほどには
能率が優れていないという点にあった。
今回、Seth Darling氏を含めたアルゴンヌ国立研究所のチームは、有機太陽電池がもつこの限界に
大きく寄与している因子を初めて検知した。
チームが発見したところによると、開発プロセス由来である触媒で使う材料の「残留物」のせいで、
有機太陽電池がもつ太陽エネルギー変換効率が妨げられているとしている。
「不純物が、ナノ構造をもつ有機太陽電池内に何らかの問題を引き起こし得るということについては近年、
気付かれ始めていたところではありました。しかし今という今まで、その不純物を有機太陽電池内において
実際に特定する手段は持ち合わせていませんでした」とDarling氏は話している。
今回チームは、「蛍光X線」という強度の高いX線を伴う技術を使用して、
不純物の正体をはっきりと掴むことに成功。開発プロセスで使用される金属原子である
「パラジウム」が、太陽電池の変換効率を妨げていることを突き止めた。
太陽電池内に残留する不純物はえてして、光子に当たったあとで生成される電荷を
「トラップ」する傾向にあるので、これにより太陽電池の性能が妨害されてしまうという。
Darling氏によれば、これと似たような問題が「有機発光素子」などにおいて生じるということは
既に気づかれていたところではあったが、有機太陽電池においても同種の問題が発生するということは
認識されてこなかったので、いくばくかの驚きを隠せないとしている。
チームは今後、改善方法やトラップを防ぐ手段などを模索していく研究にあたっていくという。
“
Phys.org, "Scientists detect residue that has hindered efficiency of promising type of solar cell" 6 May, 2013.
http://phys.org/news/2013-05-scientists-residue-hindered-efficiency-solar.html
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
「有機太陽電池」の効率を妨げている要因を特定 - 米アルゴンヌ国立研究所
米アルゴンヌ国立研究所のチームはこの度、「有機太陽電池」の太陽エネルギー変換効率を妨げている原因を特定することができたとEnergy and Environmental Scienceに発表。開発プロセスに用いる金属原子である「パラジウム」の残留物がその元凶であるとしている。
画像は東レの有機太陽電池
米アルゴンヌ国立研究所のチームが有機太陽電池の変換効率を妨げている原因がパラジウムの残留物に
よるものだと発表しています。有機ELなどでも同様の現象が生じていることは知られていましたが
有機太陽電池でも蛍光X線を用いて残留物が生成された電荷をトラップするという現象を確認したそうです。
有機系のデバイスは材料内の不純物が想定外の効果を発現することがありますが
今回の現象もその類のようです。ドーピングなど不純物を積極的に利用する方法もありますが
デバイス物性がまだ未知の部分がある有機系デバイスではこのような成果が
デバイス特性の向上につながるものだと思われます。今後改善方法の研究にあたっていくようですので
更なる研究成果が期待されます。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
アルゴンヌ国立研究所所属のナノ科学者であるSeth Darling氏らは、「有機太陽電池(OPVs)」として
知られる新しいタイプの太陽電池開発に長年、取り組んできた。
有機太陽電池には、生成や材料にかかるコストを削減することのできるポテンシャルが秘められているので、
有機太陽電池は従来型の太陽電池よりも遥かに安価に製造可能だと言われている。
また、環境への負荷も少ない。
しかしながら、有機太陽電池の主な欠点というのは、従来型の太陽電池ほどには
能率が優れていないという点にあった。
今回、Seth Darling氏を含めたアルゴンヌ国立研究所のチームは、有機太陽電池がもつこの限界に
大きく寄与している因子を初めて検知した。
チームが発見したところによると、開発プロセス由来である触媒で使う材料の「残留物」のせいで、
有機太陽電池がもつ太陽エネルギー変換効率が妨げられているとしている。
「不純物が、ナノ構造をもつ有機太陽電池内に何らかの問題を引き起こし得るということについては近年、
気付かれ始めていたところではありました。しかし今という今まで、その不純物を有機太陽電池内において
実際に特定する手段は持ち合わせていませんでした」とDarling氏は話している。
今回チームは、「蛍光X線」という強度の高いX線を伴う技術を使用して、
不純物の正体をはっきりと掴むことに成功。開発プロセスで使用される金属原子である
「パラジウム」が、太陽電池の変換効率を妨げていることを突き止めた。
太陽電池内に残留する不純物はえてして、光子に当たったあとで生成される電荷を
「トラップ」する傾向にあるので、これにより太陽電池の性能が妨害されてしまうという。
Darling氏によれば、これと似たような問題が「有機発光素子」などにおいて生じるということは
既に気づかれていたところではあったが、有機太陽電池においても同種の問題が発生するということは
認識されてこなかったので、いくばくかの驚きを隠せないとしている。
チームは今後、改善方法やトラップを防ぐ手段などを模索していく研究にあたっていくという。
“
Phys.org, "Scientists detect residue that has hindered efficiency of promising type of solar cell" 6 May, 2013.
http://phys.org/news/2013-05-scientists-residue-hindered-efficiency-solar.html
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
- 関連記事
スポンサーサイト
この記事へのコメント
トラックバック
URL :