日立、新中期経営計画--営業利益率8%目標、社会イノベーションに継続して注力

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日立、新中期経営計画--営業利益率8%目標、社会イノベーションに継続して注力

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日立製作所が2018年度を最終年度とする新しい中期経営計画「2018中期経営計画」を発表しています。
売上目標は、これまでの中期経営計画と同じであるものの、営業利益率の目標を2015年度実績よりも
約2%上げる8%と設定した、利益重視の計画となっています。


2018年度の売上目標は、2015年度実績(国際会計基準)の10兆343億円を下回る10兆円としながら、
現在6.3%の営業利益率を8%越えに設定する利益重視で目標値を設定。
集中する事業は、前中期経営計画である「2015中期経営計画」でもフォーカスした
社会イノベーションにさらに注力するとのこと。

その際に核となるのがデジタル技術の活用で、これを実現するための4月1日付けで組織体制も大きく変更。
従来の工場、それを担当する事業部、システムインテグレーション、営業という流れで顧客に対応してきた組織を
フロント、プラットフォーム、プロダクトという3階層体制としています。

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3階層の組織体制のイメージ(日立製作所提供)

フロントは顧客に近い現場で、ニーズにあわせたサービスを開発し、プラットフォームで社会イノベーションの
コアとなる技術を作り上げるとしています。
プロダクトではプラットフォームのコアとなる産業機器や部品、材料などを提供。
フロントが重要な役割を担うことから、現在11万人の人員を国内3000人、海外1万7000人の合計2万人を増員し、
顧客に近い体制を作るとのことです。

執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の東原敏昭氏は
「現場の声が経営の声にならないといけない。階層を減らし、現場の声が経営に反映する組織を目指す」と
説明しています。

この3階層の組織体制を支えるのが、5月10日に発表したIoTプラットフォーム「Lumada」。
Lumada自身の売り上げは2018年度時点で3000億円と試算していますが、
「Lumada単独の売り上げよりも電力・エネルギー、産業・流通・水、アーバン、金融・公共・ヘルスケアという
各ソリューションを伸ばしていくプラットフォームとして活用していく」(東原氏)と中計を支える基盤と位置付けています。

<社会イノベーションへの集中投資は継続>

2015中期経営計画は、売上高は10兆円の目標に実績は10兆343億円と上回ったものの、
営業利益率は目標7%超に対し6.3%、税引き前純利益率(EBIT)は目標7%超に対し5.3%、
当期利益目標3500億円超えに対し1721億円となっています。

事業としては社会イノベーション分野に集中投資しましたが、
「この方向は間違ってはいなかった。今後も社会イノベーションへの集中投資は継続する」と新中計でも
社会イノベーション分野に経営資源を集中するとのこと。

「利益目標が未達に終わった反省点としては、市場の変化のスピードが速く、経営のスピードアップが必要。
通信・ストレージ事業は、市場変化への対応が遅れた。経営のスピードアップで是正する。
海外の大規模プロジェクト管理についても、不得意なことは止め、得意分野に集中する」(東原氏)

こうした実績を踏まえ、2018中期経営計画では、
「改めて日立の強みはどこにあるか考えてみたが、グローバルで見ても、
OT(Operational Technology)=制御・運用、IT=把握・分析・予測、
プロダクト・システム=ハード・材料・EPC・SIとなんでもできる企業は他にない。
この特徴をビジネスで生かしていく。お客さまの課題を聞き取り、従来は工場の最適化を提案していたが、
これからは流通、ECまで全部つないだ最適化を提案する」と日立の特性を生かした提案を行っていくとのこと。

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4月からの組織体制(日立製作所提供)

社会インフラに関してもワールドワイドで、ロボティクス、アナリティクス、人工知能、セキュリティなどの
要素を加味したデジタル化が進行していることから、「産業・社会インフラの再編を加速するパラダイムシフトが
起こっていると認識している」との認識を示しています。

鉄道事業でも「ビルや鉄道など個々の製品を日立がデジタルでつなぎ、人の流れに応じた鉄道運営など
従来とは異なる提案」を事業としています。

社会イノベーション分野の中での注力する4事業分野は、電力・エネルギー、産業・流通・水、アーバン、
金融・公共・ヘルスケアの4事業。この4事業を、Lumada、人材も含めたフロントの強化、デジタル化に対応した
プロダクトで支えていくとしています。

また、拠点がある地域に適して対応するため、鉄道事業が順調に拡大しているイギリスでは
鉄道事業の本社機能を置いて、地域に最適なオペレーションを展開するとのこと。
Lumadaを開発する北米にプラットフォーム開発の拠点を置くとしています。

経営基盤強化としては、経営のスピードアップ、グローバル事業の慎重、事業収益性の向上、
成長事業への投資をポイントとしています。特に事業収益性の向上では、前中経から進めてきた
低収益事業を見極める「Hitachi Smart Transformation(スマトラ)」を進化させるとのことです。

進化版スマトラでは、コスト構造の見直し、IT活用による生産リードタイムの短縮と棚卸資産の圧縮による
運転資本の効率向上、工場間での生産設備の共用など投資、資産効率の向上などを実施するとしており
ここでもLumada活用も進めていくとのことです。

こうした改革で2018年度時点で、日立グループのフロント売上比率を2015年度時点の36%から40%まで拡大。
売上高は3兆5969億円から4兆円、営業利益率目標は8%。事業別では、電力・エネルギーの売上は
5195億円を5500億円に、産業・流通・水は7907億円を8400億円に、アーバンは1兆565億円を1兆4000億円に、
金融・公共・ヘルスケアは1兆2302億円を1兆3800億円としています。

「売り上げで見ると、大きく伸びていない事業でも、利益率を大幅に改善することを目標とする」(東原氏)

プラットフォームの売上高は2786億円を3300億円、営業利益率の目標は11%、
プロダクトは売上高が7兆3893億円から6兆8200億円、営業利益率目標は7%としています。

海外売上比率は、2015年度の48%から55%まで拡大する計画で、「2017年度から運行が開始される
イギリスの鉄道事業など欧州の売り上げが大きく伸張する。北米でエネルギー、ヘルスケアソリューションの提供、
中国では従来のプロダクト中心からソリューション販売へと中身を転換するなど売り上げの中身も変えていく」と
売上拡大だけでなく、構造改革も進めていくとのことです。

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