全固体Liイオン電池の新負電極材「穴あきグラフェン分子」

日経テクノロジーオンライン
全固体Liイオン電池の新負電極材「穴あきグラフェン分子」

Tohoku-univ_CNAP_image2.jpg
新負電極分子材料を使った全固体リチウムイオン電池およびその断面の電子顕微鏡図
電子顕微鏡図の灰白色の部分に穴あきグラフェン分子が入る。
黒みがかった部分は固体電解質(写真:東北大学のプレスリリースより)

東北大学と東京大学の研究グループは、全固体リチウムイオン電池の新しい負電極材料
「穴あきグラフェン分子(CNAP)」を開発したと発表しています。
汎用の黒鉛(グラファイト)電極の2倍以上の電気容量を実現し、65回の充放電後も
容量を維持することを確認したとのこと。


リチウムイオン電池の負電極材料は、軽量で大きな電気容量を持つ黒鉛が長く使われてきました。
ごく最近、グラフェンやカーボンナノチューブといったナノカーボンが新しい炭素材料として登場し、
電気容量を2~3倍に大容量化できる可能性が示されています。
その一方、ナノカーボンは、一義的な構造を持たない複雑な混合物であり、大容量化の原理・指針を
解き明かすことができないのが課題となっており、そのため、ナノカーボンの部分構造を持つ
分子性物質の開発が注目されています。

Tohoku-univ_CNAP_image1.jpg
今回開発した「穴あきグラフェン分子」の分子構造
(図:東北大学のプレスリリースより)

今回開発した穴あきグラフェン分子は、分子中央部にナノメートルサイズの孔を持つ大環状有機分子で、
この分子の固体を電極にして電池をつくり、優れた電極材料であることを確認しています。
今回の研究では、通常の電池で用いられる液体電解質ではなく固体電解質が使用され、次世代電池として
期待の高い全個体電池を視野に入れた開発を行ったとのこと。
リチウムイオン伝導率が高く、かつ安定な錯体水素化物を固体電解質に利用したことが
今回の発見につながったとしています。

Tohoku-univ_CNAP_image3.jpg
新負電極分子材料の動作想定図
穴あきグラフェン分子の隙間と孔部分(青色)の双方にリチウム(黄色)が挿入・脱離されることで
放電・充電される(図:東北大学のプレスリリースより)

また、粉末X線回折という手法を用いることで、穴あきグラフェン分子の固体は、黒鉛に似た積層構造に加えて、
中央の分子の孔が揃って細く貫く細孔構造ができあがることを明らかにしています。
黒鉛では炭素層が積層した構造の隙間にのみリチウムが蓄積しますが、穴あきグラフェン分子では、
ナノサイズの隙間と細孔の2つの場所にリチウムが蓄積することで大容量化すると考えられるとのこと。
穴あきグラフェン分子は、ありふれた分子である「ナフタレン」からつくられるとのことです。

今回の研究は、JST戦略的創造研究推進事業総括実施型研究(ERATO)「磯部縮退π集積プロジェクト」、
世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)、科学研究費助成事業から支援を受けています。
成果は、国際学術雑誌「Small」に掲載。
また、材料科学関連ニュースを扱うWebサイト「MaterialsViews.com」で紹介される予定。

東北大学ニュースリリース
「タンスの中」から「電池の中」へ~大環状有機分子から全固体リチウムイオン電池の大容量負電極が誕生~

関連記事
EETimes:防虫剤の「ナフタレン」から大容量負電極が誕生

当ブログ関連記事
特殊な工程が不要なナノ炭素材料の新しい合成法を開発
CNT本来の機能発揮する複合材料-独自分散技術で均一配合、大日精化
産総研とTASC、熱/熱水/酸/アルカリなどに強い耐環境特性ゴム材料を開発
生産性10倍の炭素繊維製造法、ライバル4社が手を組み開発

    
関連記事
スポンサーサイト

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

プロフィール

miyabi

  • Author:miyabi
  • 2013/1よりディスプレイ周りの技術情報を掲載。

    Twitter @deep2black
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最近の記事
タグリスト
カテゴリー
アーカイブ
リンク
人気記事
ブログ内検索
関連書籍
RSSフィード
Twitter