田中貴金属、タッチパネルセンサー製造へ ナノ銀粒子技術を活用(追記)

日経テクノロジーオンライン
田中貴金属、タッチパネルセンサー製造へ ナノ銀粒子技術を活用

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8インチ大のタッチパネルセンサー。X軸座標を検出するために縦に短冊状のパターンが印刷されているという。
パターンを構成する配線は配線幅/配線間隔が2μm/300μmであるため、肉眼ではまったく見えない。

田中貴金属工業は2017年からタッチパネルセンサーの製造・販売を開始する予定としています。


タッチパネルセンサーは、同社と、産業技術総合研究所、東京大学、山形大学、科学技術振興機構(JST)が
共同開発した、銀ナノ粒子を含むインク(銀ナノインク)を使った微細回路の印刷技術
「スーパーナップ(SuPR-NaP)法」を実用化したものです。同社は2010年から銀ナノインクの開発を行っています。
スーパーナップ法に向けた銀ナノインクは、山形大学 学術研究院(理学部担当)教授の栗原正人氏が
発明、開発したもので、同社が製品開発を進めてきました。
同社では、加工費用が高いとされる銀ナノインクを自社製造できる利点を生かし、インク単体ではなく、
タッチパネルセンサーに加工した形での販売を狙うとのこと。

同印刷技術では、フッ素系ポリマー層に紫外線を照射してパターン部分を潜像させ、
その上に銀ナノインクを掃引し、パターン部分のみに化学的に吸着させて配線を形成します。
産業技術総合研究所らは、同技術の開発発表に合わせ、実験室レベルでの配線形成の様子を
報道陣に公開しています。あらかじめ波長172nmの紫外線でパターンを焼き付けてあるフィルムに、
1滴あたり1μLの銀ナノインクを数滴滴下し、ブレードで掃引してパターンを形成するデモが行われています。

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(左)パターンは見えないが、導通が確認できる。 
(右)タッチパネルセンサー形成のデモの様子。銀ナノインクを滴下したところ。

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(左)インクを滴下したところに、ブレードを配置する。
(右)ブレードで掃引した後。肉眼では、インクの反射により7㎜幅のパターンがうっすらと見えていたようだ。

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(左)顕微鏡で拡大したとろ。配線にややムラが見られる。本来はクリーンルームだが、
デモでは見学によりクリーン度が低下したのも影響したのではないかとのこと。
(右)目視できるテストパターンを印刷したものを曲げたところ。

このうち、タッチパネルセンサーを想定したデモでは、PET基材の上に、配線幅/配線間隔が2μm/300μm、
厚みが50~100μmの格子を幅7mmの短冊状に印刷してみせています。
8インチ程度のタッチパネルセンサーのXパターンに相当するとのこと。
試作品の抵抗値は50Ω/□で、タッチパネルセンサーに使われるITOの150Ω/□より小さく、
感度が高いなどの機能性向上が見込めるとしています。

田中貴金属は、2017年1月にPETを基材とする50cm×50cmのタッチパネルセンサーの
サンプル出荷を開始する予定としています。その後、顧客の反応を見ながら、製造ラインを整備していくとのこと。
タッチパネルセンサーは金属配線層と絶縁層で作ることができるため、同技術の最初の実用例に選んだとしています。

価格的にもITOなどに対抗できると見込んでいるとのことです。
まず、同技術は真空での工程やエッチング工程などがなく常温または80℃以下の加熱で処理ができるため、
比較的設備コストやエネルギーコストが低いとされています。
また、配線層となる銀ナノインクは必要部分への塗布となるため、使用量が少ないとしており
さらに同社では銀ナノインクを社内から調達できる点も強みとしています。

同技術を使った配線層のもう1つの特徴が、化学的な吸着を利用するため、曲げ耐性が強いことです。
PETを基材とするものでは、配線層自体の曲げ耐性が基材の曲げ耐性を超えることを確認しており、
ある程度曲がった状態で使用するようなフレキシブル化も可能としています。
さらに引き伸ばしなどに対応するストレッチャブル化については、今後の検討課題としています。
銀ナノインクの定着に必要なフッ素ポリマー層は一般的な材料を使ってスピンコートやブレード掃引などで塗布でき、
塗布する基材との相性も特にないとのこと。

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(16/05/24追記)
OPTRONICS ONLINE:産総研ら,大面積微細回路印刷法を開発
マイナビニュース:高精細な銀配線を低コストで印刷する技術を産総研などが開発
→技術の詳細はマイナビニュースが詳しいです
(16/06/01追記)
EETimes:線幅0.8μmを実現する新原理の印刷技術を開発
(16/06/10追記)
MONOist:超高精細な金属配線を大面積に印刷できる新技術

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