フレキシブルディスプレー製造を革新する超薄型ガラス搬送技術

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フレキシブルディスプレー製造を革新する超薄型ガラス搬送技術

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http://www.lantechnical.co.jp/

東京大学は2016年4月4日、ランテクニカルサービス(本社:東京都新宿区)と共同で、接着剤を用いずに
超薄型ガラスと搬送ガラス基板を常温で接合し、更に加熱処理した後でも常温でガラス基板から超薄型ガラスを
剥離できる新技術を開発したと発表しています。
扱いの難しい薄型ガラスを製造プロセス中に直接使用できるためフレキシブルディスプレーなど
薄型ディスプレーの製造工程を大きく変革するとともに、環境負荷低減にも大きな貢献が期待されるとしています。


現在スマートフォンで使われている液晶のガラスの厚さは200μmが主流ですが、この厚さのガラスはたわみやすく、
ロボットで搬送するのが困難でした。現在の製造工程では、400~500μmの厚めのガラス基板に液晶表示素子を
形成した後、そのガラスをフッ酸に浸漬して厚さ200μmまで化学研磨(スリミング)していました。
しかし、この方法は100μmが限界といわれており、毒性の高いフッ酸を使うことから環境コスト面も
大きな負荷となっていたとのことです。

コストや実現性からは、薄型ガラスを搬送ガラス基板に貼り付け、
TFT製造工程・カラーフィルター製造工程・封止工程の後に搬送ガラス基板から剥離するのが理想的と考えられます。
しかし現実には、接着剤による接合は300度以上の加熱処理に耐えられず、
接着剤を使わない直接接合は400度以上の加熱加圧が必要となり、
その後の加熱処理で強度が増してしまうため接合面の剥離が困難となっていました。

今回開発した手法は、ガラス表面の片面にイオンビームでシリコンの薄膜を数ナノメータ形成し、
このガラス表面を、一旦水を含む窒素雰囲気中に露出させた後、
ガラスを真空中またはドライな窒素雰囲気中に戻して2枚のガラスを押し付けることで常温接合させるというもの。
ガラス表面のシリコン薄膜が窒素中の水分と反応して水酸基を形成して接着剤の役割を果たすとのことです。

接合後の剥離は、接合面に亀裂を入れることで機械的に破断させます。高温加熱処理時には水酸基が分解して
水素を発生し、接合界面に微細なボイド(泡状の空隙)が多数形成されることで接合界面が弱まるため、
500度で90分の加熱処理を行った後も強度が増すことなく機械的に剥離できるとしています。

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