シャープ関連 続報
Tech-onより。
Samsung出資は両刃の剣、「シャープの受注急増」は早計だ
本ブログ記事でも記載していますが、
→速報:シャープとサムスンが資本提携へ 液晶パネルをサムスンに優先供給
→続報:シャープとサムスンが資本提携へ
今回の提携については
短期ではシャープののメリットは大きいが、中長期では供給の安定性の確保は難しく、
一方シャープの液晶以外の事業も含めた経営への影響力拡大、
アップル、ホンハイへの牽制など、サムスンのメリットは意外に大きいと指摘しています。
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シャープは、韓国Samsung Electronics社日本法人のサムスン電子ジャパンに対し、
3580万株の新株(発行済株式数の3.08%)を発行し、1株290円で割り当て、
約104億円の出資を受入れると発表した(関連記事1、関連記事2)。
目的は液晶事業分野での協業深化である。
短期ではシャープへのメリットは大
筆者は、シャープへの影響を次のように見る。
まず短期的には下記3点が挙げられる。
(1)104億円のキャッシュ獲得。ただし、2013年9月償還のCB(転換社債)は2000億円であり、
金額的な影響は非常に小さい。
(2)今後の資金調達の実施に向けた信用力向上。金融市場に向けたアナウンスメント効果が期待できる。
(3)亀山第2工場の減損処理リスクの回避。
中長期では、Samsung向けにパネル供給拡大の“機会”自体は増えるものの、
液晶パネルの供給に「拘束力のある長期契約」という考え方は商慣習上ない。
結局のところ、実現するか否かは、純粋に事業環境と同社の技術力、コスト競争力次第で決まる。
Samsung、液晶以外の事業で買収機会
一方のSamsungにとってのメリットは意外と大きい。同社にとっては次の利点がある。
(a)大型・中小型液晶パネルの安定供給元確保。
(b)第5位の大株主として、同社の経営・技術情報への接近。
(c)将来的に、同社の情報機器、電池、LEDなど、液晶以外における協業、買収機会の獲得。
(d)シャープと提携する米Apple社、台湾Hon Haiグループへの牽制。
本提携でSamsungからの受注が急増すると考えるのは早計だ。
実際、Samsungが調達する32型、40型、60型、のうち供給過剰の32型などは、
足元のシャープへの発注量が減少傾向にある。タブレット用パネルもグループ内との同時調達である。
つまりSamsungからすると、シャープは供給者の一つに過ぎない。
また、AppleおよびSamsungの両社との協業は諸刃の剣である。
資金面での協力を仰ぐ代わりに、優先供給や優待価格販売を求められたり、
結果的に独自技術の保持が困難となったり、運営の自由度、収益性が低下するリスクも小さくない。
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ブルームバーグの記事では今回のサムスンの出資は同社の液晶から有機ELへのシフトを
あらわすものだと指摘しています。
サムスンがシャープに救命浮輪、LCD確保しOLEDに注力
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3月7日(ブルームバーグ):経営難のシャープ に世界トップのテレビメーカーである
韓国サムスン電子が投資を決めたのは、有機発光ダイオード(OLED)技術を採用した
高価格製品への移行を加速させている表れだ。
サムスンは104億円を投じてシャープに約3%出資する。スマートフォン(多機能携帯電話)と
テレビ用の液晶表示装置(LCD)の供給をシャープから確保し、OLEDの開発に注力する。
37兆4000億ウォン(約3兆2300億円)の手元資金を持つサムスンは液晶テレビに比べ
価格が約3倍の超薄型テレビの販売を目指している。
サムスンと同業のLG電子は、シャープとソニー、パナソニックを苦境に陥れた
世界的な需要減速を新技術の開発によって乗り切りたい考えだ。
キウーム証券のアナリスト、キム・スン氏(ソウル在勤)は
「サムスンはLCDの生産を減らしOLED技術に軸足を移している。
LCDはもはや大きな収益源にはならない」と指摘した。
サムスンは1株290円でシャープ株を引き受ける。価格は6日の終値341円から15%割安。
資料によるとシャープの増資は28日に完了する。
米アップルのタブレット型コンピューター「iPad(アイパッド)や
スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けLCDパネルを製造しているシャープは、
増資で調達した資金のうち69億円を投じてLCDの新技術を導入する。
32億3000万円はモバイル機器関連の液晶製造設備の合理化等の投資に使う。
OLEDテレビ発売
サムスンはOLEDテレビの販売を今年1-6月(上期)中に開始する計画だと、
同社テレビ事業責任者のキム・ヒュンスク氏が2月に述べていた。
SMBCフレンド証券の中西文行シニアストラテジストは、
サムスンは同社のテレビ用次世代パネルとしてOLEDに大きく投資しており、
シャープへの出資は自然な動きだと述べた。
シャープは台湾の鴻海精密工業グループからの出資に向けた交渉が進展せず、
資金確保の必要に迫られていた。
原題:Samsung Throws Lifeline to Sharp as Galaxy Maker Focuseson OLED(抜粋)
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一方でHonHaiも引き続きシャープとの交渉を継続している模様です。
ブルームバーグより。
鴻海精密会長、シャープ幹部と7、8両日会談-聯合晚報
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3月7日(ブルームバーグ):台湾・鴻海精密工業の郭台銘会長は7、8両日、
日本でシャープの幹部と会談し、出資について協議する。台湾紙、聯合晚報が従業員を引用して報じた。
鴻海精密の広報担当ローラ・リウ氏は同紙の報道についてコメントは避けたものの、
出資に関するシャープとの協議は続けるとあらためて述べた。
電話取材に応じた。シャープ広報の中山みゆき氏はコメントを控えた。
5日に予定されていたシャープ側と郭会長の会合は中止されたと先に伝えられていた。
原題:MORE: Foxconn Chairman Meets Sharp Executives, UEN Reports(抜粋)
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Samsung出資は両刃の剣、「シャープの受注急増」は早計だ
本ブログ記事でも記載していますが、
→速報:シャープとサムスンが資本提携へ 液晶パネルをサムスンに優先供給
→続報:シャープとサムスンが資本提携へ
今回の提携については
短期ではシャープののメリットは大きいが、中長期では供給の安定性の確保は難しく、
一方シャープの液晶以外の事業も含めた経営への影響力拡大、
アップル、ホンハイへの牽制など、サムスンのメリットは意外に大きいと指摘しています。
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シャープは、韓国Samsung Electronics社日本法人のサムスン電子ジャパンに対し、
3580万株の新株(発行済株式数の3.08%)を発行し、1株290円で割り当て、
約104億円の出資を受入れると発表した(関連記事1、関連記事2)。
目的は液晶事業分野での協業深化である。
短期ではシャープへのメリットは大
筆者は、シャープへの影響を次のように見る。
まず短期的には下記3点が挙げられる。
(1)104億円のキャッシュ獲得。ただし、2013年9月償還のCB(転換社債)は2000億円であり、
金額的な影響は非常に小さい。
(2)今後の資金調達の実施に向けた信用力向上。金融市場に向けたアナウンスメント効果が期待できる。
(3)亀山第2工場の減損処理リスクの回避。
中長期では、Samsung向けにパネル供給拡大の“機会”自体は増えるものの、
液晶パネルの供給に「拘束力のある長期契約」という考え方は商慣習上ない。
結局のところ、実現するか否かは、純粋に事業環境と同社の技術力、コスト競争力次第で決まる。
Samsung、液晶以外の事業で買収機会
一方のSamsungにとってのメリットは意外と大きい。同社にとっては次の利点がある。
(a)大型・中小型液晶パネルの安定供給元確保。
(b)第5位の大株主として、同社の経営・技術情報への接近。
(c)将来的に、同社の情報機器、電池、LEDなど、液晶以外における協業、買収機会の獲得。
(d)シャープと提携する米Apple社、台湾Hon Haiグループへの牽制。
本提携でSamsungからの受注が急増すると考えるのは早計だ。
実際、Samsungが調達する32型、40型、60型、のうち供給過剰の32型などは、
足元のシャープへの発注量が減少傾向にある。タブレット用パネルもグループ内との同時調達である。
つまりSamsungからすると、シャープは供給者の一つに過ぎない。
また、AppleおよびSamsungの両社との協業は諸刃の剣である。
資金面での協力を仰ぐ代わりに、優先供給や優待価格販売を求められたり、
結果的に独自技術の保持が困難となったり、運営の自由度、収益性が低下するリスクも小さくない。
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ブルームバーグの記事では今回のサムスンの出資は同社の液晶から有機ELへのシフトを
あらわすものだと指摘しています。
サムスンがシャープに救命浮輪、LCD確保しOLEDに注力
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3月7日(ブルームバーグ):経営難のシャープ に世界トップのテレビメーカーである
韓国サムスン電子が投資を決めたのは、有機発光ダイオード(OLED)技術を採用した
高価格製品への移行を加速させている表れだ。
サムスンは104億円を投じてシャープに約3%出資する。スマートフォン(多機能携帯電話)と
テレビ用の液晶表示装置(LCD)の供給をシャープから確保し、OLEDの開発に注力する。
37兆4000億ウォン(約3兆2300億円)の手元資金を持つサムスンは液晶テレビに比べ
価格が約3倍の超薄型テレビの販売を目指している。
サムスンと同業のLG電子は、シャープとソニー、パナソニックを苦境に陥れた
世界的な需要減速を新技術の開発によって乗り切りたい考えだ。
キウーム証券のアナリスト、キム・スン氏(ソウル在勤)は
「サムスンはLCDの生産を減らしOLED技術に軸足を移している。
LCDはもはや大きな収益源にはならない」と指摘した。
サムスンは1株290円でシャープ株を引き受ける。価格は6日の終値341円から15%割安。
資料によるとシャープの増資は28日に完了する。
米アップルのタブレット型コンピューター「iPad(アイパッド)や
スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けLCDパネルを製造しているシャープは、
増資で調達した資金のうち69億円を投じてLCDの新技術を導入する。
32億3000万円はモバイル機器関連の液晶製造設備の合理化等の投資に使う。
OLEDテレビ発売
サムスンはOLEDテレビの販売を今年1-6月(上期)中に開始する計画だと、
同社テレビ事業責任者のキム・ヒュンスク氏が2月に述べていた。
SMBCフレンド証券の中西文行シニアストラテジストは、
サムスンは同社のテレビ用次世代パネルとしてOLEDに大きく投資しており、
シャープへの出資は自然な動きだと述べた。
シャープは台湾の鴻海精密工業グループからの出資に向けた交渉が進展せず、
資金確保の必要に迫られていた。
原題:Samsung Throws Lifeline to Sharp as Galaxy Maker Focuseson OLED(抜粋)
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
一方でHonHaiも引き続きシャープとの交渉を継続している模様です。
ブルームバーグより。
鴻海精密会長、シャープ幹部と7、8両日会談-聯合晚報
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3月7日(ブルームバーグ):台湾・鴻海精密工業の郭台銘会長は7、8両日、
日本でシャープの幹部と会談し、出資について協議する。台湾紙、聯合晚報が従業員を引用して報じた。
鴻海精密の広報担当ローラ・リウ氏は同紙の報道についてコメントは避けたものの、
出資に関するシャープとの協議は続けるとあらためて述べた。
電話取材に応じた。シャープ広報の中山みゆき氏はコメントを控えた。
5日に予定されていたシャープ側と郭会長の会合は中止されたと先に伝えられていた。
原題:MORE: Foxconn Chairman Meets Sharp Executives, UEN Reports(抜粋)
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