完全印刷工程で作製した有機TFT、何に応用する?「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議2016」

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完全印刷工程で作製した有機TFT、何に応用する?

JAPERA_organic_TFT_array_image1.jpg

「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、完全印刷工程で作製した有機TFT
(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)や、有機TFTを応用した電子ペーパー/圧力センサーなど、
最新の研究成果が展示されています。


<早く、安く、大量に製造>

次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)は、印刷技術を用いたTFTアレイシートと、
それを用いた圧力センサーのデモ展示を行っています。
印刷技術を用いることのメリットは、早く、安く、大量に製造できる点にあるとのこと。

また、シリコンよりも性能は劣りますが、製造工程は主に「下地加工」「印刷」「低温焼成」で済み、
従来工程より短縮できるとのこと。シリコンは特性を出すために400~1000℃の熱処理が必要ですが、
プリンテッド工程は100℃で済むのもメリットとなっています。
また、1度に大面積で作製でき、工場の規模も従来より小さくて済むので、コスト削減につながるとしています。

JAPERA_organic_TFT_array_image1.jpg
展示されていた印刷工程によるTFT。「300μmピッチで400×600mmまで試作できている」(説明員)という。
折ったり、曲げたりしても破損しないのもメリットだろう

会場では、試作TFTアレイシートを用いて試作された圧力センサーシートを展示。
感圧ゴムは、ある押圧範囲において、圧力に応じて抵抗が比例的に変化します。
これを可変抵抗とし、コモン電極に一定電圧を加えます。
圧力が小さいときは、抵抗が増えTFTのドレイン電圧が低くなり、ソース電流はあまり流れませんが
圧力が大きいときは、抵抗が減りドレイン電圧が高くなってソース電流が流れます。
ゲートのアドレスに同期してソース電流を検出することで、押された場所と押された強さが分かる
動作原理となっています。

JAPERA_organic_TFT_array_image2.jpg JAPERA_organic_TFT_array_image3.jpg
圧力センサーを用いた棚管理システム。TFTアレイシートを用いた圧力センサーが棚の下にしかれており、
圧力の分布により商品が何個あるのか、倒れていないかとった状況分かるようになっている
 
TFTアレイシートの技術的な部分は確立されているため、今後は電子ペーパーや圧力センサーなどの
動作実証を行い、サイネージや大面積/高速で特性変化を検知するセンサーシートへの適用を行い、
新規市場創出を狙っていくとしています。

<エレクトロクロミックインク技術を活用>

リコーは、電気を通して透明と着色を制御する“エレクトロクロミックインク技術”による
「積層型エレクトロクロミックディスプレイ」を展示しています。
エレクトロクロミック材料は、電気的な酸化/還元反応により、透明と着色に変化します。
同社は、分子構造を設計することで、色彩や反応電圧の制御を実現したとのこと。
シアン、マゼンタ、イエローの3原色に着色し、低電圧で駆動する新しい材料を開発したとしています。

会場では、同技術を応用した調光メガネとアートガラスを展示。
調光メガネは紫外線やまぶしさの調整に使用できるとのこと。
今後は、アートガラスのような目に優しく、身の回りの色彩を豊かにする新規デバイスの
実用化を進めるとしています。

RICO_electroclomic_glass1.jpg RICO_electroclomic_glass2.jpg
左=調光めがね/右=アートガラス

<軽くて柔らかい電子ペーパー>

凸版印刷は、印刷製造技術による電子ペーパーの参考展示を行っています。
電子ペーパーなどの情報端末は、用途の多様化から軽量性やフレキシブル性、
落としても割れない丈夫さが求められています。
同社は、フレキシブルTFT基材とプラスチック基板を組み合わせることで、
軽量でフレキシブルな電子ペーパーを開発しています。

プラスチック基板上に印刷プロセスでTFTを形成するには、電極材料や有機半導体材料などの
さまざまな材料に適した印刷方法を使い分ける必要があるとともに、複数の層を精度良く位置合わせすることが
重要になるとのこと。凸版印刷は今回、環境調和性の高い印刷技術を活用し、これらの課題を解決したとしています。
会場では、同成果により開発した、小売/流通分野向けの「レール型電子ペーパー棚札」を展示しています。

Toppan_E-paper_tag_image1.jpg
レール型電子ペーパー棚札

電子ペーパーの開発はまだ研究レベルであり、
「今後は、量産に向けて歩留まりの改善やコストダウンを進めていく」(説明員)と語っています。
用途は物流やサイネージなど多岐にわたりますが、レール型電子ペーパー棚札の実用化を
2017年度中に目指すとしています。

<スポーツに活用できる圧力センサーシート>

大日本印刷は、スポーツやゲームなどに活用できる大面積の圧力センサーシートを展示してます。
同センサーシートは、ディスプレイ用のTFTを用いて、外力による抵抗値の変動を電気信号として検知し、
高速応答できる情報入力素子として用いることができるとのこと。

DNP_pressure-sensor_monitor_image1.jpg
センサーシートを足で踏んだときの電気信号の様子

同センサーシートは、床面内における生活者の行動把握や、スポーツ用途でのモニター、ヘルスケア分野など
大面積センサーとしての活用が期待されるとのこと。
今後は、メートル級の大面積TFTアレイの実現に向けて、要素技術の確立をしていくとしています。

DNP_pressure-sensor_monitor_using_image1.jpg
人流センサーとして、大人数の足跡観測も可能という  出典:大日本印刷

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