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花王、ガスバリアー性に優れたセルロース・ナノファイバー層の開発にメド

Tech-onより(タイトルクリックで当該ページに移動します)
花王、ガスバリアー性に優れたセルロース・ナノファイバー層の開発にメド

花王の加工・プロセス研究所はセルロース・ナノファイバーを樹脂表面にコーティングすることで
酸素透過能などのガスバリアー性が大幅に向上する仕組みをほぼ解明したと発表しています。

概要を述べますとコーティングの際に自己組織的にナノファイバーが
整列することでガスバリアー性が発現するようです。
解析の結果、コーティング層内部の孔径は酸素分子よりも大きいため、通常では分子が透過してしまいます。
そこから逆説的に上記のメカニズムを導き出したとのこと。
ナノファイバーが高電荷量を持つほど、またアスペクト比が小さいほど整列しやすくなるようです。
また湿度が高い状態ではガスバリアー性が劣化するため、マイカなどの微細な粒子と
ナノコンポジット化することで高湿度環境でもガスバリアー性を向上できるとのこと。

このナノファイバーは植物から取り出すことができるとのことで、材料枯渇の心配はなさそうですね。


関連ページ
東京大学大学院農学生命科学研究科 磯貝明教授のHP
発電する紙(当ブログ内)

TOCN 磯貝研究室
Isogai, A.; Saito, T.; Fukuzumi H. Nanoscale 2011, 3, 71-85.
TEMPO酸化セルロースナノファイバー(磯貝研究室HPより)

セルロース利用技術の最先端 (新材料・新素材シリーズ)セルロース利用技術の最先端 (新材料・新素材シリーズ)
(2008/04)
磯貝 明

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 花王の加工・プロセス開発研究所は、植物由来のセルロース・ナノファイバー(CNF)を樹脂表面に
薄膜状にコーティングすることで、酸素透過能などのガスバリアー性が大幅に向上する仕組みをほぼ解明したと
発表した。酸素透過能などのガスバリアー性が大幅に向上する仕組みは、京都大学生存圏研究所が
2013年2月27日に開催した「生存圏シンポジウム 生物が創り出すナノ繊維」の中で、発表したもの。

花王は東京大学、日本製紙、凸版印刷と、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業
「セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能包装部材の実用化技術開発」を
平成22~24年度(2010~2012年度)などを通して、約6年間にわたって共同開発を実施し、
ガスバリアー性に優れたセルロース・ナノファイバーのコーティング層の開発にメドをつけた。

 その開発成果は、2013年1月31日から3日間開催された「nano tech2013」
(第12回国際ナノテクノロジー総合展・技術展)に出展したNEDOブースで公表された。
バイオマス植物由来のポリ乳酸(PLA)フィルムの表面に、
セルロース・ナノファイバー(直径3n~4nm、長さ100nm~数μm)のコーティング層を
厚さ0.1μ~1μmで施した結果、酸素透過能が0.1ml/(m2・day・atm)と、
従来の1/7000まで減らすことができたと発表した。
バイオマス素材のポリ乳酸フィルム表面に、セルロース・ナノファイバーをコーティングするため、
廃棄してもカーボン・ニュートラルを維持できる点が特徴である。

花王の加工・プロセス開発研究所によると、セルロース・ナノファイバーのコーティング層の構造を
陽電子消滅法によって観察した結果、「コーティング層の内部の孔径は平均0.48nmであるとの結果になった。
直径0.3nmの酸素分子が簡単に透過してしまう、大きな孔径であるため、コーティング層が
ガスバリアー性を発揮できる理由が説明できない結果になった」(花王の加工・プロセス開発研究所)という。
この実験では、樹脂には厚さ25μmのポリエチレン・テレフタレート(PET)を採用している。

 このため、直線形状のセルロース・ナノファイバーが多数集積してコーティング層を形成する
構造形成モデルを計算機でシミュレーションした結果、直線形状のセルロース・ナノファイバーは
互いに平行になるように、自己組織的に整列すると推論できた。
さらに、セルロース・ナノファイバーが高電荷量を持つほど、またセルロース・ナノファイバーの
アスペクト比が小さいほど、セルロース・ナノファイバーは自己組織的に整列し、
ある程度整列したセルロース・ナノファイバーが多数集積した構造が酸素分子などのガスを
透過しにくくすると推論された。

 開発したセルロース・ナノファイバーのコーティング層は湿度が低い乾燥状態では、
良好な酸素ガスのバリアー性を発揮するが、相対湿度が30%RH以上の高湿度になると、
現行の代表的なガスバリアー・フォルム「EVOH」(エチレン-ビニルアルコール共重合体、クラレの商品名)
と比べて劣るとの実験結果が示された。

 このため、高湿度環境下でのガスバリアー性を向上させるために、マイカ(雲母)などの
微細な無機粒子とナノコンポジット化することで、高湿度環境でのガスバリアー性を
向上できることを見いだした。
マイカの無機粒子が単分散してセルロース・ナノファイバーが自己組織的に配列した部分の
孔径をふさぐ効果があると推定している。

今回のセルロース・ナノファイバーのコーティング層を実用化する基盤技術になったのは、
植物の細胞壁からセルロース・ナノファイバーを取り出す研究成果である。
東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明教授が見いだした、TEMPO触媒と呼ばれる酸化触媒を利用して、
植物の細胞壁内にある「セルロース・ミクロフィブリル」を酸化し、
セルロース・ナノファイバーを多数、簡単に取り出す研究成果である。
単体のセルロース・ナノファイバー表面には水酸基(OH-)などが多数あり、
水素結合によって単体のセルロース・ナノファイバーが多数集合したセルロース・ミクロフィブリルを
形成している。植物の細胞壁内では、このセルロース・ミクロフィブリルが“強化繊維”の役割を
果たしている。セルロース・ミクロフィブリルは植物の細胞壁を構成しているため、
資源としては無限大にあると考えられている。

 花王は「製品化を目指して社内で商品性を評価している」という。
主に、ガスバリアー性に優れた包装フィルムとしての製品化を検討している模様である。


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