関学、最高効率と色純度の有機EL材料を開発(追記)

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関学、最高効率と色純度の有機EL材料を開発

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図1 DABNAを用いた青色有機EL素子

JST戦略的創造研究推進事業において、関西学院大学の研究グループは、
最高レベルの発光効率(電気を光に変換する効率)と色純度を持つ有機ELディスプレー用
青色発光材料の開発に成功したと発表しています。


有機ELディスプレーは、液晶ディスプレーと比較して、コントラスト比、視野角、応答性などに優れており、
スマートフォンに代表される小型ディスプレー用途で実用化が進んでいます。

有機ELディスプレー用の発光材料としては、蛍光材料、りん光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料の
3種類が利用されていますが、蛍光材料は、発光効率が低く、25~37.5%程度。
一方、りん光材料とTADF材料は、発光効率が100%に達する場合もありますが、
いずれも色純度が低い(発光スペクトルの幅が広い)という問題が指摘されています。

ディスプレーでは、光の三原色である赤・緑・青色の発光を混合することによりさまざまな色を表現していますが、
それぞれの色純度が低いと、再現できない色ができてしまい、画質が大きく低下することになります。

そこで、市販のディスプレーでは、発光スペクトルから不必要な色を光学フィルターで除去することにより、
色純度を高めてから(スペクトル幅を狭くしてから)使用しています。
よって、元々のスペクトル幅が広いと除去する割合が増えるために、発光効率が高い場合でも、
実質的な効率は大きく低下することになります。

例えば、市販のスマートフォンの青色の発光スペクトルの半値幅は、20~25nm程度ですが、
一般的な蛍光材料は40~60nm程度、りん光材料は60~90nm程度、TADF材料だと70~100nm程度です。

蛍光材料を用いた場合は一部の除去で済みますが、りん光材料やTADF材料を用いた場合は
半分以上除去する必要があります。
このような背景から、発光効率と色純度の両方を兼ね備えた発光材料の開発が望まれていました。

研究グループは、TADF材料の色純度を飛躍的に向上させる新たな分子デザインを考案し、
その分子デザインに基づき、世界最高レベルの色純度を持つTADF材料(DABNA)を開発したとのこと。
一般にTADF材料は、ドナーと呼ばれる電子供与性の置換基とアクセプターと呼ばれる電子受容性の
置換基を用いて分子内のHOMOとLUMOを局在化させて、効率的な逆項間交差が起きるようにデザインされています。

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図2 発光スペクトルの比較

しかし、ドナーやアクセプターを用いると励起状態での構造緩和が大きくなり、
色純度が低い幅広な発光スペクトルを与えることになります。
これに対し、DABNAでは、元素周期表で炭素の左右にあるホウ素と窒素の多重共鳴効果を利用することで、
6つの炭素からなるベンゼン環上の3つの炭素にHOMOを、
残りの3つの炭素にLUMOを局在化させることに成功したとしています。

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図3 従来のTADF材料の分子デザイン

効率的な逆項間交差により、DABNAの発光効率は最大で100%に達するとのこと。
ホウ素と窒素はHOMOとLUMOを局在化させるだけではなく、3つのベンゼン環を縮環させることで
励起状態での構造緩和を抑制するという役割も担っており、
色純度の高い発光スペクトルを得ることができたとのこと。
その発光スペクトルの半値幅は28nmであり、実用化されている高色純度の蛍光材料をも
凌駕する世界最高レベルの色純度を示しているとのことです。

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図4 高純度TADF材料の分子デザイン

開発されたDABNAは、最高レベルの青色発光材料であるのみならず、ホウ素、窒素、炭素、水素という
ありふれた元素のみからなることや市販の原材料から短工程で合成できることなどの優位性があり、
有機ELディスプレーの高効率化と低コスト化が期待できます。

また、DABNAの開発を通じて有効性が証明された多重共鳴効果を利用した分子デザインによって、
今後、さらに優れた特性を持つ発光材料を開発することも可能だとしています。
将来的には、家庭やオフィスの液晶ディスプレーの代替が進むことで、大きな省エネ効果が期待されるとしています。

JSTニュースリリース
最高レベルの発光効率と色純度を持つ有機ELディスプレー用青色発光材料を開発

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(16/03/19追記)
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