耐衝撃性2倍に、異種繊維を混ぜたCFRP 東レ、射出成形用の長繊維ペレットを新開発
日刊工業新聞
耐衝撃性2倍に、異種繊維を混ぜたCFRP 東レ、射出成形用の長繊維ペレットを新開発

異種繊維を配合した長繊維ペレットのイメージ
長い異種繊維がクラックの進展を防ぐため耐衝撃性が高まる
東レは、炭素繊維(CF)に加えて柔軟な有機繊維(異種繊維)を添加することで、
強度や剛性を維持したまま耐衝撃性を高めた射出成形用の
炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)を開発したと発表しています。
開発品は、CFとともに、CFより柔軟な有機繊維を配合したものです。
有機繊維は、CFに比べて成形後に繊維が長い状態で残ることから、衝撃時のクラックの進展を抑制し、
耐衝撃性を高める効果があるとのこと。
PPを母材としてCFを10質量%、有機繊維を4質量%の配合した開発品の場合、
異種繊維の平均長さは2.5mm程度と、CFの平均長さ(1mm程度)に比べて2倍以上長かったとしています。
また、PCやPPSでも、有機繊維を併用することで耐衝撃性が1.5倍以上になったとのこと。

成形品の電子顕微鏡写真
炭素繊維に比べて異種繊維の平均長は2倍以上ある
同社は、射出成形用の長繊維ペレット「TLP」(Toray Long carbon fiber reinforced Pellet)を提供しています。
一般に、樹脂中のCFが長いほどCFRTPの耐衝撃性は高いですが、TLPのCFの長さは、
混練・成形過程で折損して短くなってしまうため、耐衝撃性の向上に限界があったとしています。
耐衝撃性を高めるためにエラストマーを添加する方法が知られていますが、
低温ではじん性が低下して耐衝撃性が維持できない、荷重をかけた状態が続くと
変形しやすい(クリープ)といった課題がありました。
開発品は、エラストマーを添加しないため、低温でも耐衝撃性を維持できる上、クリープ特性にも優れるとしています。
同社は、併用する有機繊維の種類や仕様(太さ、断面形状など)を明らかにしていませんが、
母材となる樹脂や要求される耐衝撃性に応じて種類や仕様を使い分けるとのこと。

耐衝撃性の向上
射出成形した長繊維CFRTPは短繊維のそれに比べて耐衝撃性は高いが、
異種繊維を混ぜた開発品(ハイブリッド)はさらにその2倍の耐衝撃性を持つ
今後、実用化に向けた量産化技術を確立し、TLPの新ラインアップとして製品化するとしています。
東レニュースリリース
耐衝撃性を向上した炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを開発
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開発品は、CFとともに、CFより柔軟な有機繊維を配合したものです。
有機繊維は、CFに比べて成形後に繊維が長い状態で残ることから、衝撃時のクラックの進展を抑制し、
耐衝撃性を高める効果があるとのこと。
PPを母材としてCFを10質量%、有機繊維を4質量%の配合した開発品の場合、
異種繊維の平均長さは2.5mm程度と、CFの平均長さ(1mm程度)に比べて2倍以上長かったとしています。
また、PCやPPSでも、有機繊維を併用することで耐衝撃性が1.5倍以上になったとのこと。

成形品の電子顕微鏡写真
炭素繊維に比べて異種繊維の平均長は2倍以上ある
同社は、射出成形用の長繊維ペレット「TLP」(Toray Long carbon fiber reinforced Pellet)を提供しています。
一般に、樹脂中のCFが長いほどCFRTPの耐衝撃性は高いですが、TLPのCFの長さは、
混練・成形過程で折損して短くなってしまうため、耐衝撃性の向上に限界があったとしています。
耐衝撃性を高めるためにエラストマーを添加する方法が知られていますが、
低温ではじん性が低下して耐衝撃性が維持できない、荷重をかけた状態が続くと
変形しやすい(クリープ)といった課題がありました。
開発品は、エラストマーを添加しないため、低温でも耐衝撃性を維持できる上、クリープ特性にも優れるとしています。
同社は、併用する有機繊維の種類や仕様(太さ、断面形状など)を明らかにしていませんが、
母材となる樹脂や要求される耐衝撃性に応じて種類や仕様を使い分けるとのこと。

耐衝撃性の向上
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異種繊維を混ぜた開発品(ハイブリッド)はさらにその2倍の耐衝撃性を持つ
今後、実用化に向けた量産化技術を確立し、TLPの新ラインアップとして製品化するとしています。
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