生産性10倍の炭素繊維製造法、ライバル4社が手を組み開発

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生産性10倍の炭素繊維製造法、ライバル4社が手を組み開発

NEDO_new-process_carbonfiber_image1.jpg
図1 新しい製造プロセスで生産した炭素繊維

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維
従来の製造プロセスと比較して、生産性を10倍に高めた新しい製造プロセスを開発した(図1)としています。
生産性だけではなく、生産に必要なエネルギーやCO2の排出量も削減するとのこと。


炭素繊維炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の強化剤として主に利用され、
代表的な利用用途は航空機です。
最近では、高価格帯の車種を中心に自動車のボディーなどにも採用が進んでいますが
炭素繊維の高価な原材料と生産性の低さが問題でした。

従来のPAN系炭素繊維の製造プロセスは大きく4つの工程からなります(図2)。
(1)溶媒に溶かしたPANを糸状の繊維にする「製糸」
(2)PAN繊維を熱処理により酸化させ、耐熱性を高める「耐炎化」
(3)高温で加熱して炭化させる「炭化」
(4)「表面処理」

この製造プロセスの中で耐炎化工程が管理が難しく、
大量のPAN繊維を一度に処理することは難しかったとのこと。

従来の製造プロセスではPAN繊維を、200~300℃で30~60分ほど空気中で加熱することで耐炎化処理。
その後、耐炎化したPAN繊維を1000~2000℃で加熱して炭化させ、表面処理を施して炭素繊維を作ります。
 
NEDO_new-process_carbonfiber_image2.jpg
図2 従来と今回の製造プロセスの比較

新しい製造プロセスでは新開発した「溶媒可溶性耐炎ポリマー」を利用して耐炎化工程を不要にしたとのこと。
溶媒可溶性耐炎ポリマーは、糸に紡ぎやすく、耐炎性を備えています。
溶媒可用性耐炎ポリマーは衣料用の安価なPANを原料とし、溶解促進剤と酸化剤を加えて作るとのこと。

耐炎化処理を不要するとともに炭化方法も物質を直接加熱できる
マイクロ波を用いる新技術を開発しています。
これにより炭化炉を高温に保つ必要は無くなり、炭化にかかる時間の短縮も可能とのこと。

表面化処理ではプラズマを利用する新技術を開発しています。
表面処理のプロセスを簡略化し、従来手法と比較して表面化処理工程にかかる
エネルギーを約50%削減が可能となるとのこと。

今回の製造プロセスは、自動車質量の半減を目標に素材や接合技術を総合的に開発する
NEDOのプロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」において東京大学が中心となり、
産業技術総合研究所と東レ、帝人、東邦テナックス(帝人グループ)、三菱レイヨンが共同開発したものです。
上述の4社は、2014年のPAN系炭素繊維の世界シェア65%を握っています。

今後はこの製造プロセスの工業化を目指し、プラントでの実証実験を検討中であるとのこと。
炭素繊維の高強度化や太径化するための技術を開発していくとしています。

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