CESで話題になったディスプレイ技術を一挙レビュー、製品化の見通しは?

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CESで話題になったディスプレイ技術を一挙レビュー、製品化の見通しは?

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米ラスベガスで開催された「CES 2016」では、4K/HDRを軸に新しいディスプレイ技術が展示されています。


<大きく改善したパナソニックのバックライト制御>

パナソニックの今年のテーマはハイダイナミックレンジ(HDR)に対して、
いかに対応するかとなっています。
現在主流の液晶テレビでHDRを表現しようとすると、黒の表現と高輝度を両立させるために、
バックライトの部分駆動をかなり大胆に行う必要があります。

バックライトの部分駆動を”ローカルディミング”といいますが、この分割の細かさや制御方法などが、
HDR時代におけるテレビ画質を大きく左右することになります。
まだ製品への実装が始まったばかりということもあり、ノウハウや技術の違い、
あるいは投入するコスト(製品価格)による差が大きく、メーカーごとの個性を出しやすい領域となっています。

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パナソニックが発表した「DX900シリーズ」
 
欧州向け最上位モデルとして発表された「DX900シリーズ」は、
512分割のローカルディミングが行えるVA液晶パネルを採用しています。
512分割は、東芝「CELL REGZA」と同じ分割数ですが、単に数を増やしただけではなく、
バックライトの光学設計に工夫を加えているそうです。
光を拡散させる層に、光を遮蔽する格子状のフィルターを形成し、
部分制御で明るさを変化させるマス目からの漏れ光を抑制。
これにより、これまでにない細やかなローカルディミング制御が行えるようになったとしています。

関係者に話を聞くと、ローカルディミングと映像処理のLSIを1チップに統合することで
問題を解決できたとのこと。会場でデモンストレーションされていたのは65インチモデルですが、
一回り小さい58インチモデルも用意するそうです。

このほか、パナソニックは技術参考展示としてレーザー光源バックライトを用いた
8K解像度の55インチテレビも披露しています。
BT.2020の広色域を98%カバーするものですが、ローカルディミング制御には対応していないとのこと。

<気になるOLEDテレビ動向>

HDRの時代、規格上は1万nitsまで収録可能となり、より高いピーク輝度を出せる液晶の方が
OLEDよりも優位と思われがちですが、OLEDには圧倒的なコントラスト差
(UHD Premiumロゴの取得条件だけでも液晶の40倍)があり、また画素ごとに自発光するため、
ローカルディミング制御のような”ハロ”の発生もありません。

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LGの「G6」は77V型の4K OLEDテレビ

ただし、”高輝度部の色ノリが良い”というHDRの良さという面では、
よく出来たHDR対応液晶テレビに一歩譲る形です。
これはピーク輝度を出す際に、RGBW構成(Wはホワイト)の白画素で輝度を稼いでいるからと想像されるとのこと。
RGBW構成そのままに輝度を稼ぐ場合、一般的な駆動では明部の色再現領域が狭くなるため。

OLEDテレビでは、多数の中国メーカーがLG製パネルを採用してOLEDテレビを展示していたそうです。
今後、LGのOLEDパネル生産拠点は稼働率がさらに上がっていくことが予想されるため、
パネル自身の進化が今後は加速していくとされています。
サムスンも安価な白色OLEDを用いたLGと同タイプのパネル生産に再び取り組み始めたという噂もあるそうです。

日本勢ではパナソニックがLG製のOLEDパネルを用いたTVに取り組んでいますが
何人かの関係者から事情を聞いたところ、年内の国内投入はないとのこと。
LG方式のOLEDパネルで高画質を引き出すための研究開発をしているようで、
それらの技術を盛り込んだ後、“満を持して”国内投入に臨むつもりのようだとのことです。

RGBW画素構成における高輝度部のカラーボリューム縮小については、高輝度部で濃い色を出す場合に限り、
W画素をほとんど使わず、RGB画素だけをブーストして表示するなどの制御を行うとのこと。
当然、発光寿命への懸念が出てきますが、ブーストして光らせる時間管理などを徹底したり、
そうした処理が不要な色に対してはブーストをしないなどのアイディアを組み合わせて解決しているとのことです。

<「Backlight Master Drive」登場でOLEDは不要になる?>

ソニーに関しては、もともとソニーの液晶テレビはローカルディミング制御が優秀で、
ピーク輝度も1200nits以上まで出せる状態となっているそうです。

Sony_X9400_image.jpg
昨年5月に発表した75V型の「X9400」

ソニーのBacklight Master Drive(BMD)は、直下型LEDバックライトの配置密度を高め、
格子フィルターで分割領域からの漏れ光を抑え込むことで、
ローカルディミングの分割数を常識外れに高める技術です。

新タイプのLEDと前出の光学系を用いることで、最高4000nitsの超高輝度を実現するとのこと。
4000という数字は、ドルビーラボラトリーが開発した高輝度HDRマスタリングモニター「Pulsar」と同等レベルです。
こうしたシステムで問題となりやすいLEDの発熱問題に関しては、
ペルチェ素子や水冷といった特殊な手法を用いずに対応できているとのことです。

サイズを小さくすると、LEDの配置密度が詰まってくるためめ、より熱の問題が大きくなりますが、
ソニー側は“課題”とは認識しつつも、解決できると考えているとしています。

ソニーの説明によると、画素ごとに対応したディミングを行えない液晶の場合でも、
眼球内で発生する光の拡散により、光源周囲に明るく見える部分が発生するため、
BMDぐらいの分割数となれば“ハロ”は感じられなくなるとのことです。

<”OLED+BMD”がソニーの戦略か?>

BMDの長所は、既存技術である液晶パネルを使えることです。
大型液晶パネルはOLEDに比べて圧倒的に安価に調達できます。
中国では第11世代工場への投資が始まっており、将来はさらに価格が落ちていくと予想されています。

記事の筆者の予想するソニーの戦略は、
75インチ以上の大型TVは、OLEDがのサイズまで追いつくにはかなりの時間がかかるためBMD技術を適用。
一方でLED配置密度が極端に高いこともあり、BMD採用テレビの小型化にはハードルがあるため、
65インチ以下のプレミアムモデルに関しては、”将来は”というただし書きが付くものの、
LGディスプレイが作るOLEDパネルの品質を確認しながら、しかるべきタイミングで製品化すると考えられるとしています。

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