完全自動運転に立ちはだかる二つの「巨大な壁」-トヨタなど、課題解決へ技術開発挑む
日刊工業新聞
完全自動運転に立ちはだかる二つの「巨大な壁」-トヨタなど、課題解決へ技術開発挑む

ボルボの「レベル3」(AIが運転主体)のイメージ(同社ホームページより)
完全自動運転の実現には二つの壁があるとされています。
運転を人工知能(AI)に任せていくと、人間はほとんど何もしなくてもいいのに、
運転AIの監視は続けなくてはならない本末転倒の状況が生まれます。
ドライバーは楽なのに気を抜けない「レベル3の壁」と呼ばれています。
もう一つは運転AIが人間よりも事故を起こしにくいことを示す「安全性証明の壁」です。
自家用車が起こす死亡事故は、走行距離1億キロメートル当たり0.38件となっています。
人間とAIの事故率で統計的な差を示すには100億キロメートル以上の試験走行が
必要になる可能性があります。
「完全自動運転を唱えるのは新参者だけだ」と、古参の自動運転研究者らは口をそろえています。
トヨタ自動車は完全自動運転の技術は開発するものの、無人で走る車を商品化する考えはないとのことです。
自動車各社が目指すのは、あくまで人間が運転主体になる「レベル2」のシステムです。
AIが運転主体になる「レベル3」や完全自動運転の「レベル4」は課題が多いとされています。

(左)産総研自動車HFセンターのドライビングシミュレーター(産総研提供)
産業技術総合研究所の津川定之客員研究員(元名城大学教授)は
「運転AIに優良ドライバーと同等の安全性を求めると、途方もない距離を走っても差を検出できないだろう」と
指摘しています。100億キロメートルの走行試験は一企業ではほぼ不可能な距離です。
安全評価の研究者は「あらゆる状況での安全性は評価できない」と明かしています。
そこで、既存の車の自動化レベルを段階的に上げていくルートが現実路線として選ばれています。
追突や交差点など事故の多い場面に絞って運転支援システムを開発し、
限られた条件で安全性向上を示します。このルートに立ちはだかるのが「レベル3」の壁です。
レベル3では運転をAIに任せるものの、緊急時などはAIの要請に応じて運転を代わることになります。
問題となるのは緊急時に本当に交代できるかどうかです。
例えば雑誌を読んでいると衝突6秒前に運転交代を要請され、
3秒で状況を把握して2秒でハンドルをきることになります。
一連の動作をパニックを起こさずに完遂しなければならないことになります。
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ドライバーは楽なのに気を抜けない「レベル3の壁」と呼ばれています。
もう一つは運転AIが人間よりも事故を起こしにくいことを示す「安全性証明の壁」です。
自家用車が起こす死亡事故は、走行距離1億キロメートル当たり0.38件となっています。
人間とAIの事故率で統計的な差を示すには100億キロメートル以上の試験走行が
必要になる可能性があります。
「完全自動運転を唱えるのは新参者だけだ」と、古参の自動運転研究者らは口をそろえています。
トヨタ自動車は完全自動運転の技術は開発するものの、無人で走る車を商品化する考えはないとのことです。
自動車各社が目指すのは、あくまで人間が運転主体になる「レベル2」のシステムです。
AIが運転主体になる「レベル3」や完全自動運転の「レベル4」は課題が多いとされています。

(左)産総研自動車HFセンターのドライビングシミュレーター(産総研提供)
産業技術総合研究所の津川定之客員研究員(元名城大学教授)は
「運転AIに優良ドライバーと同等の安全性を求めると、途方もない距離を走っても差を検出できないだろう」と
指摘しています。100億キロメートルの走行試験は一企業ではほぼ不可能な距離です。
安全評価の研究者は「あらゆる状況での安全性は評価できない」と明かしています。
そこで、既存の車の自動化レベルを段階的に上げていくルートが現実路線として選ばれています。
追突や交差点など事故の多い場面に絞って運転支援システムを開発し、
限られた条件で安全性向上を示します。このルートに立ちはだかるのが「レベル3」の壁です。
レベル3では運転をAIに任せるものの、緊急時などはAIの要請に応じて運転を代わることになります。
問題となるのは緊急時に本当に交代できるかどうかです。
例えば雑誌を読んでいると衝突6秒前に運転交代を要請され、
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