FC2ブログ

安全で長寿命な「全固体リチウムイオン二次電池」が実現か、MITなどが開発

ITmedia
安全で長寿命な「全固体リチウムイオン二次電池」が実現か、MITなどが開発

マサチューセッツ工科大学とサムスングループは、全固体リチウムイオン二次電池を実現する
「固体電解質材料」を開発したと発表しています。

スマートフォンやPC、電気自動車など身の回りの機器の多くで、リチウムイオン電池が採用されていますが、
安全性の問題や製品寿命の問題など、数多くの課題を抱えています。
これらによる蓄電池の性能や大きさ、コストなどの制約が、蓄電池を使用する最終製品の
製品価値を左右する状況となっており、蓄電池技術の進化が期待されている状態です。

蓄電池に進化を促すため、昨今多くの研究機関や企業により研究開発が活発化しているのが
リチウムイオン二次電池における「全固体化」の実現です。
電池は大きく分けると正極、負極、電解質から構成されています。
現在利用を広げているリチウムイオン二次電池では、正極材にリチウム金属酸化物材料、
負極に炭素系材料、電解質では有機溶媒を利用するケースが多い状態です。
この場合、正極材や負極材は固体ですが、電解質は液体やゲル状の物質を採用しています。
この電解質に固体材料を採用した電池が「全固体リチウムイオン二次電池」となります(図1)。

Li-ion_loadmap_NEDO_image.jpg
図1 NEDOによるリチウムイオン電池の電解質の技術マップ。
(左)が各種電解質材料の電気伝導率温度依存性、(右)が各種電解質の電位窓。 ※出典:NEDO

全固体リチウムイオン二次電池は、一般的に発火や爆発の危険性が小さい点と、
高いエネルギー密度を維持できる点、使用劣化による寿命の低下を抑えられる点などが
特徴だとされています。
一方で固体の電解質ではリチウムイオンの伝導性を確保できず
充放電の速度を十分に得られないという課題を抱えていました。

コスト競争力も実現可能

今回マサチューセッツ工科大学(MIT)とサムスングループが開発したのは、
デバイスの寿命と安全性を両立させつつ、蓄積できるエネルギー容量を改善するため、
電解質に固体材料を利用したリチウムイオン二次電池です。

これらの研究は国際学術誌である「Nature Materials」に掲載されたもので、
MITの材料科学・工学の教授であるガーブランド・シダー(Gerbrand Ceder)氏の研究室で
博士研究員であるヤン・ワン(Yan Wang)氏など5人のメンバーによって開発されたとのこと。

シダ―氏は「二次電池の火災の多くは液体の電解質材料が原因となってきた。
リチウムそのものは可燃性ではないため、固体材料を使用することができれば、高い安全性を実現できる」と
強調しています。また、開発された固体電解質は、電池寿命、安全性、コストなど
「残りの問題のほとんどを解決可能な、完璧なバッテリーを実現し、
“ゲームチェンジャー”になり得る」(シダ―氏)としています。

リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄の化合物

新たに開発されたリチウムイオン伝導体は、リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄の化合物です。
リチウムイオン伝導体として知られている材料に焦点を当てたことが
最初の発見につながったとのこと(図2)。

Li-ion_loadmap_NEDO_material_image.jpg
図2 新たに発見したリチウムイオン電導率の高い固体電解質の構造。
緑がリチウム原子、黄色が硫黄原子、紫が硫化リン四面体、青が硫化ゲルマニウム四面体 出典:MIT

新電解質によるリチウムイオン二次電池は、“燃えない”ことによる安全性や、
10万回以上の充放電サイクルでも性能の劣化がないという“長寿命”を実現した他、
従来は十分な性能を発揮できなかった-30度の極寒の環境でも性能を発揮することが
可能だとしており、また電力密度も20~30%の改善につながるとしています。

リチウムイオン電池の全固体化が実現すれば、蓄電池の利用用途は
さらに大きく広がることになり、期待が高まっています。


当ブログ関連記事
アウディが500km走れる電気自動車SUVを開発へ、LGとサムスンから電池調達
東京電機大など、エネ密度2倍に高めたリチウムイオン電池の正極用材料を開発
Delta、リチウム電池出荷へ 15年Q3
日本ガイシ、亜鉛二次電池を開発-デンドライトを物理的に遮断、ショート問題解決

    
関連記事
スポンサーサイト



この記事へのコメント

トラックバック

URL :

プロフィール

miyabi

  • Author:miyabi
  • 2013/1よりディスプレイ周りの技術情報を掲載。

    Twitter @deep2black
カレンダー
10 | 2020/11 | 12
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
最近の記事
タグリスト
カテゴリー
アーカイブ
リンク
人気記事
ブログ内検索
関連書籍
RSSフィード
Twitter