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産総研、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜の長期安定性を飛躍的に向上

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産総研、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜の長期安定性を飛躍的に向上

AIST_CNT_CTF_process_fig1_image.jpg
今回開発したCNT透明導電膜の作製プロセス

産業技術総合研究所(産総研)の研究グループは、カーボンナノチューブCNT)を用いた
透明導電膜の導電性の長期安定性を飛躍的に改善する技術を開発したと発表しています。



産総研では、単層CNTの量産、高品質化、直径制御などが可能なeDIPS法を開発してきました。
今回、CNT透明導電膜の実用化にあたり障害となっていた導電性の長期安定性
を飛躍的に向上させることに成功したとしています。

CNTはグラファイトを筒状に丸めた構造の材料で、高分子のように柔軟な材料でありながら
極めて高い導電性を示すことが知られていますが、CNT薄膜の導電率は単独のCNTに比べると大幅に劣ります。
これは、CNTとCNT間の接触抵抗がCNT薄膜の導電率に大きく影響しているためであると考えられています。

CNT薄膜の導電性を高めるためには、硝酸を始めとする酸化剤などを少量加える「ドーピング」という方法が
よく用いられます。硝酸ドーピングは、長期間大気中に保管すると揮発性分子がドーピングした薄膜から
徐々に遊離してシート抵抗値が高くなり、耐久性が課題になっていました。

今回の研究では、ヨウ化銅などの金属ハロゲン化物の薄膜を真空蒸着法で
CNT薄膜の上、または下に作製しています。
これに数100ミリ秒のパルス幅の光を照射して薄膜の温度を急激に上昇・降下させることによって、
金属ハロゲン化物を薄膜内で移動させ、透明導電膜を作製しています。

結果、透過率85%に対してシート抵抗60 Ω/□という、CNT透明導電膜として
世界最高レベルの透明性と導電性を示したとの事です。

パルス光照射前後の原子間力顕微鏡像から、パルス光照射により、金属ハロゲン化物のナノ粒子が
成長すると同時にCNTのネットワークの中に移動していることがわかったとの事。
また、パルス光照射後、ナノ粒子は主に、2本以上のCNTが交差する場所に位置していることがわかり、
ナノ粒子がCNT同士の接触を強める“インターコネクト”構造を形成することによって
高い導電性を保持している可能性が示されたとしています。

AIST_CNT_CTF_AFM_fig2_image.jpg
CNT透明導電膜の原子間力顕微鏡像
(ア)ナノ粒子を含まないCNT薄膜(イ)今回の技術で得られたCNT薄膜(ウ)図イの拡大像

さらに、室温、大気中で保管した際の導電性の経時変化を測定すると、
硝酸でドーピングした従来のCNT透明導電膜では、作製直後に急激なシート抵抗の上昇がみられ、
その後も徐々に値が上昇しますが、今回開発した透明導電膜では作製直後のシート抵抗の値を
長期間保持することがわかったとの事です。

AIST_CNT_CTF_fig3_image.png
開発したCNT透明導電膜のシート抵抗の経時変化

これは、金属ハロゲン化物などのナノ粒子は大気にさらしても揮発しないので、
長期間安定に性能を維持することができるためであるとしています。

今後、ナノ粒子材料の種類や光処理の条件の最適化により、CNT透明導電膜の導電性、透明性をさらに向上させ、
また、全工程を塗布や印刷などのウェットプロセスで作製することを目指すとしています。
さらに、スクリーン印刷法による大面積パターニングなどによって、タッチパネルだけでなく、
センサ、太陽電池の電極、ウェアラブルエレクトロニクスなどへの幅広い用途開発を目指すとしているそうです。

産総研ニュースリリース
長期安定性を示すカーボンナノチューブ透明導電膜を作製

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この記事へのコメント

- 刃物屋 - 2015年03月23日 02:23:54

 さすが、SLD-MAGICは切れ味抜群。

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