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有機ELテレビ用パネル、なぜLG Displayだけが生き残ったのか

日経テクノロジーオンライン
有機ELテレビ用パネル、なぜLG Displayだけが生き残ったのか

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LG Electronics社の77型湾曲4K有機ELテレビ

有機ELに注力している唯一のTVメーカーとしての技術的なアプローチについて、
LG社 専務/OLED開発Group長のByungchul Ahn氏へのインタビューを行った記事になります。


エレクトロニクス機器の見本市「IFA2014」では、韓国Samsung Electronics社は昨年と同じ
55型の1機種のみの展示、パナソニックは3台の有機ELテレビを展示していたが、
韓国LG Display社製の有機ELパネルを搭載と昨年と比較して実質的に有機ELテレビメーカーが
実質的に韓国LG Electronics社の1社になってしまった印象だと述べられています。
LG Electronics社は唯一、有機ELテレビを主力製品に掲げており、今年は77型の湾曲型有機ELテレビや
65型と55型の4Kテレビも展示されていたようです。

LG_4K_OLED_curved_TV_IFA2014_image.jpg
LG Electronics社の65型湾曲4K有機ELテレビ

■現状の体制
第8世代のガラス基板を使い、1枚の基板から55型換算で8枚のパネルを製造

■有機ELへの取り組みででLGが残った理由
有機ELにおけるすべてのファクターへの取り組みが重要。具体的には、蒸着、封止、駆動、TFT。
他社は印刷方式を実施しているが、全体の要素からすると、4分の1に過ぎず、
残りの3つがそろわなければ有機ELはものにならない。

■LGの印刷方式採用の可能性
現状では量産の完成度は低い。5~6年先は不明だが、現在は、
「蒸着によって白色有機EL膜を形成し、白赤緑青のWRGBのカラーフィルター
(LG Display社は「カラー・リファイナー」と称する)で発色」という作り方がベストだと判断している。
2016年までは、今の材料を使う限り、WRGB方式以外の作り方は現実的ではないと考えている。

samsung_LG_AMOLED_strategies_NPD_DS_IFA2014_image.jpg
Samsung Electronics社とLG Electronics社の開発推移(NPD DisplaySearch社の資料)

■RGB方式(RGBのサブピクセルそのものを発光させる方式:Samsungが採用中)についての考え方
2009年から2011年にかけて、RGB方式をトライしており、15型はRGB方式だったが技術的に大変難しい。
パターンマスクによって作製するが、RGBで3回の蒸着工程を通らなければならないので、
歩留まりがそもそも低い数値の3乗になる上、高精細化が難しく、またマスクの中央が垂れ下がるので大型化が難しい。
(※Samsungは主に中小型の有機ELを製造しています)

■「白色有機EL+カラーフィルター」方式の利点
マスクが要らないので、高精細化が容易で、大型化は十分可能。
製造においても、RGB方式では枚葉(パネル1枚ずつ)のプロセスだが、
白色有機EL+WRGBカラーフィルター方式では大きなマザーガラス基板がそのまま使用可能。
色再現についてもカラーフィルターを液晶用ではなく、有機ELの持つスペクトラムに最適化することで、
色再現範囲の広さは確実に得られていると認識している。

■開発での問題点
これまでの開発では、「良い有機EL素子を見つけること」そして「効率を上げること」が第一。
材料メーカーから提供された素子一つひとつをまずは小規模のパイロットラインで試し、うまくいきそうだったら、
量産で初めは慎重に流してみるトライを3年以上を費やすことで、初期に比べると
素子の発光効率を2倍以上に高められた。

特に封止技術に注力。いかに完璧に水分や酸素を有機EL素子内部に入れないかがポイントで開発に5年は要した。
TFTも第8世代基板では、信頼性を上げるのに苦労した。
さらに高精細化、大型化も問題。当初は55型フルHDで商品化をスタートしたが、
その後、4Kになり、65型、77型と大型化していく過程でさまざまな困難があった。

■液晶との画質比較について
液晶が苦手とするコントラストは「直下型LEDバックライト+ローカルディミンング」で課題克服の
メドがつきそうになっており、白色LEDの色再現範囲を広げる量子ドット技術も実用化されている中
液晶とどう戦うか?

ここまでは製造を確立する段階であり、これからが有機ELならではの画質をつくる時代。
輪郭再現のクオリティーでは有機ELが圧倒的に優れており、すっきりとした輪郭となる。
色再現にしても、暗くなると液晶は彩度が落ちるが、有機ELはきちんと彩度を保っている。

量子ドット技術採用の液晶の色再現との比較は?

量子ドット技術を用いた液晶パネルと有機ELパネルは、「色度図ではDCI 100% Coverageを実現する」という面では
同等だが、実際の画質においての色味は、有機ELパネルの方が優秀であると考える。
量子ドット技術を用いた液晶パネルは、やはり液晶を使用するため、低階調での色の純度が落ちてしまい、
「True Black」を実現することは難しく、「Full White」では同じ色味が出るとしても、
通常ユーザーが主に目にする動画の低い階調においては、有機ELの色味の方が優れている。

今後の有機ELの画質で新たに攻めるところは?

ハイダイナミックレンジと色再現範囲。
視野にかかわらず輝度が変わらないという有機ELの特性は、湾曲テレビでは特に強いメリットとなる。


Samsungとの差別化という要素もあるかと思いますが大型有機ELへの取り組みについて、
LGは他社とは一線を画す意気込みで進めているように思います。
それが現在の立ち位置につながっているのだと思いますが、中国系TVメーカーが対応してくるなかで
どれだけ優位性を保った開発を続けていけるかがポイントになるのではないかと思います。
印刷方式については現時点では採用しない方針のようですが、独メルクとインクジェット材料の
共同開発に取り組んでいるとの報道もあり、次世代の方式についても研究開発を進めていると思われます。

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