FC2ブログ

東工大など、二酸化チタンの光触媒活性決める重要因子を発見

日刊工業新聞より。
東工大など、二酸化チタンの光触媒活性決める重要因子を発見

titech_tio2_2type_compare_image.jpg

東京工業大学大学院理工学研究科の小澤健一助教らは、
二酸化チタンの光触媒活性を決める因子を発見したと発表しています。


二酸化チタン結晶表面における励起電子と正孔の振る舞いをリアルタイムで観測することに成功、
電子と正孔が消滅するまでの時間が触媒活性を決定する重要因子であることを突き止めたとの事。
東京大学、上智大学との共同研究となっています。

触媒表面の化学処理によって電子と正孔の寿命を制御できれば、
より高性能の光触媒を開発できる可能性があるとしています。

二酸化チタンには、ルチル型とアナターゼ型という原子構造が異なる結晶型が存在し、
アナターゼ型の方が性能は高いとされていますが、理由は不明でした。
研究グループは半導体に特有な現象として知られている表面光起電力(SPV)効果に着目し、
SPV の測定から TiO2結晶表面の光励起キャリアを評価しています。
SPVの大きさは表面に到達した光励起キャリアの数に比例し、TiO2表面の価電子バンドや
内殻準位のエネルギー位置に反映されます。

TiO2単結晶表面の価電子バンドのエネルギー位置を検証すると、ルチル型とアナターゼ型の
TiO2のどちらの表面でも、価電子バンドは結晶内部のバンドに比べてエネルギー的に深いところに
位置することが判明しています(図 1)。

TIT_TiO2_bandbending_image.png

このような表面で光励起キャリアが発生すると、電子は結晶表面に、正孔は
結晶内部に移動してSPVが発生します(図 2)。

TIT_TiO2_bandbending_image2.png

SPVの時間変化を観測した結果が図3となります。

TIT_TiO2_bandbending_image3.png

熱電子放出モデルを適応して SPV の時間変化を解析すると、ポテンシャル障壁がある時の
光励起キャリアの寿命を求められます。
表面ポテンシャル障壁は、結晶表面の化学状態(表面にどのような分子がどのくらい吸着しているのか、
結晶表面に格子欠陥があるか)に敏感に応答します。

熱電子放出モデルの解析からはポテンシャル障壁がない時のキャリア寿命も求められ、
アナターゼ型で 0.25 ナノ秒、ルチル型では 0.020 ナノ秒となったとの事です。
これが結晶表面に固有のキャリア寿命と言ってよく、
アナターゼ型の固有のキャリア寿命は 13倍もルチル型より長いことが明らかとなったとしています。

TIT_TiO2_bandbending_image4.png

加えて、同じ高さのポテンシャル障壁を持つ場合にはアナターゼ型のキャリア寿命はルチル型より
常に長いこと、アナターゼ型 TiO2表面のポテンシャル障壁がルチル型より0.15 eV以上大きくならないと
キャリア寿命の逆転が起こらないことが重要なポイントだとしており(図4)、
今回の研究から得られた結果は、アナターゼ型 TiO2がルチル型 TiO2より光触媒活性が高いという事実を
キャリア寿命の観点から証明する初めての直接証拠であるとしています。

成果は米化学会誌ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・レターズ電子版に掲載されています。

東京工業大学ニュースリリース
二酸化チタンの光触媒活性を決める因子を発見

論文情報

Electron-Hole Recombination Time at TiO2 Single-crystal Surfaces: Influence of Surface
Band Bending

Kenichi Ozawa, Masato Emori, Susumu Yamamoto, Ryu Yukawa,
Shingo Yamamoto, Rei Hobara, Kazushi Fujikawa, Hiroshi Sakama, and Iwao Matsuda,
The Journal of Physical Chemistry Letters, 2014, 5, pp 1953-1957
DOI: 10.1021/jz500770c





東京工業大学大学院理工学研究科の小澤健一助教らは、二酸化チタンの光触媒活性を決める因子を発見した。二酸化チタン結晶表面における励起電子と正孔の振る舞いをリアルタイムで観測することに成功、電子と正孔が消滅するまでの時間が触媒活性を決定する重要因子であることを突き止めた。東京大学、上智大学との共同研究。触媒表面の化学処理によって電子と正孔の寿命を制御できれば、より高性能の光触媒を開発できる可能性がある。
 二酸化チタンには、ルチル型とアナターゼ型という原子構造が異なる結晶型が存在し、アナターゼ型の方が性能は高いが、理由は不明だった。研究グループが両型を比較すると、アナターゼ型はルチル型に比べて電子と正孔の寿命が13倍長いことが分かった。成果は米化学会誌ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・レターズ電子版に掲載された。


図解入門よくわかる最新光触媒の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)図解入門よくわかる最新光触媒の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)
(2012/07)
指宿 堯嗣

商品詳細を見る
関連記事
スポンサーサイト



この記事へのコメント

トラックバック

URL :

プロフィール

miyabi

  • Author:miyabi
  • 2013/1よりディスプレイ周りの技術情報を掲載。

    Twitter @deep2black
カレンダー
12 | 2021/01 | 02
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最近の記事
タグリスト
カテゴリー
アーカイブ
リンク
人気記事
ブログ内検索
関連書籍
RSSフィード
Twitter